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Applying GRADE
to Diagnostic Test Accuracy
2016/9/24 尼崎総合医療センター
-診断研究へのGRADEの適用-
藤原 崇志
倉敷中央病院 耳鼻咽喉科/臨床研究支援センター
なぜSR/MAを行うのか?
患者さんの治療の上で切実な疑問が
日々わんさか生じる。
SR(systematic review)/MA(meta-analsis)
SR/MAを行うことで検査の特性をしり、
より適切な医療判断をしたい。
ただSR/MAの結果の提示の仕方が
標準化していなくて論文をみて解釈が大変。
http://www.gradeworkinggroup.org/
GRADE Working Group
(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)
色々なグレーディングシステムが作成され、エビデンスの質(レベル)と推奨の仕方が
システムによって異なっており、混乱が生じていた。
2000年にGuyattおよびOxmanらが率いるGRADE working groupが発足し、
診療ガイドラインやシステマティックレビューの標準的手法としてGRADEシステム
(GRADEアプローチ)が開発された。
Cochrane DTAにおけるGRADEの現状
診断研究におけるGRADEはまだ模索段階のよう??
とは?
システマティック・レビュー
診療ガイドライン作成
パネル
エビデンスの質
利益と不利益のバランス
価値観や好み
コストや資源の利用
これらを考慮し判断
推奨のグレーディングと推奨文の作成
・方向(推奨する、推奨しない)
・強さ(強い、弱い)
重要なアウトカムを設定し、
アウトカムごとに
システマティック・レビューを作成
Body of evidenceの質を評価
DTAへのGRADEアプローチの適用
疑問の定式化
とアウトカム
CQ設定(PICO)
重要なアウトカム
を特定
*各カテゴリ別帰結の定
義
TP
FP
TN
FN
死亡
罹患
QOL
害
その他
診断研究の
システマティックレビュー
QUADAS-2評価
RoBとApplicability
メタアナリシスの実施
感度
特異度
エビデンスの
質の評価
統合エビデンスに
GRADEを適応
*GRADE down5要因&up3要因
エビデンスプロファイル
推奨の作成
4つの要因を考慮し判断
推奨の強さと方向
□ エビデンスの質
□ 利益と害のバランス
□ 価値観と好み
□ 資源の利用(コスト)
全体的なエビデンスの質
● ~を使用する(強い推奨)
● ~を 使用する(弱い推奨)
● ~を使用しない(強い推奨)
● ~を 使用しない(弱い推奨)
DTAへのGRADEアプローチの適用
疑問の定式化
とアウトカム
CQ設定(PICO)
重要なアウトカム
を特定
*各カテゴリ別帰結の定
義
TP
FP
TN
FN
死亡
罹患
QOL
害
その他
診断研究の
システマティックレビュー
QUADAS-2評価
RoBとApplicability
メタアナリシスの実施
感度
特異度
エビデンスの
質の評価
統合エビデンスに
GRADEを適応
*GRADE down5要因&up3要因
エビデンスプロファイル
推奨の作成
4つの要因を考慮し判断
推奨の強さと方向
□ エビデンスの質
□ 利益と害のバランス
□ 価値観と好み
□ 資源の利用(コスト)
全体的なエビデンスの質
● ~を使用する(強い推奨)
● ~を 使用する(弱い推奨)
● ~を使用しない(強い推奨)
● ~を 使用しない(弱い推奨)
Clinical questionの設定
診療ガイドラインのためのGRADEシステム第2版p202
●何はともあれCQを設定しないと始まらない。
解決したい臨床上の疑問を定式化し、明確にする。
その際に検査の目的をはっきりさせるのは大事。
● 診断に関する疑問の様式
[医療問題または集団] において、
[標的状態] を診断するためには、
[介入] と [比較対照] のいずれを使用すべきか?
評価しようとしている検査の、臨床上の位置づけを明確にする。
Bossuyt et al. (2006). BMJ, 332, 1089-1092.
Population
Initial test
Existing test
現状
Population
Initial test
New test
Population
New test
Population
Initial test
Existing test
New test
Existing test
置換 選別 追加
Clinical questionの設定
診断検査の目的は大きく3つにカテゴリーされる。
Wells score
D-dimer test for excluding the diagnosis of
pulmonary embolism (Review)
Clinical pathway (introduction section) a
As explained above, symptomatic patients generally
undergo PTP testing by the PE Wells test before they
are given any D-dimer test. The two-level Wells test
is a CPR that provides patient points for each
criterion met (e.g. previous history of PE or DVT,
clinical signs of PE, recent surgery or immobilisation,
heart rate > 100 beats per minute (bpm)). The
maximum score is 12.5 ….
Cochrane Database of Systematic Reviews 2016: CD010864
CTPA or V/Q
D-dimer
No PEPE
No PE
Clinical questionの設定
診断検査の目的を論文の中で明示する。
DTAへのGRADEアプローチの適用
疑問の定式化
とアウトカム
CQ設定(PICO)
重要なアウトカム
を特定
*各カテゴリ別帰結の定
義
TP
FP
TN
FN
死亡
罹患
QOL
害
その他
診断研究の
システマティックレビュー
QUADAS-2評価
RoBとApplicability
メタアナリシスの実施
感度
特異度
エビデンスの
質の評価
統合エビデンスに
GRADEを適応
*GRADE down5要因&up3要因
エビデンスプロファイル
推奨の作成
4つの要因を考慮し判断
推奨の強さと方向
□ エビデンスの質
□ 利益と害のバランス
□ 価値観と好み
□ 資源の利用(コスト)
全体的なエビデンスの質
● ~を使用する(強い推奨)
● ~を 使用する(弱い推奨)
● ~を使用しない(強い推奨)
● ~を 使用しない(弱い推奨)
アウトカムの重要性の階層構造の例(InterventionのGRADEの場合)
ー腎不全による高リン酸血症に対する薬物治療ー
意思決定として重大
(7〜9点)
死亡率
心筋梗塞
骨折
軟部組織の切開化による疼痛
腹部膨満
9
8
7
6
5
4
3
2
1
意思決定には重要だが、
重大でない (4〜6点)
患者には重要でない
(1〜3点)
重要なアウトカムを特定(RCTの場合)
RCTのメタ解析なら死亡とか検査値とかいろいろ効果量が
わかり、それらが患者にとって重要か判断できるけど・・・
診断研究のメタ解析だと感度とか特異度しか算出できない
し、それって患者にとって大事なの?重要度とか決めれる
の??
重要なアウトカムを特定
RCTの場合
全死亡 疾患特異的死亡
疾患発症率 QOL
など(研究により異なる)
DTAの場合
感度 特異度
真陽性 偽陽性
真陰性 偽陰性
など(基本的におんなじ)
RCTとDTAのシステマティックレビューで算出されるアウトカム
重要なアウトカムを特定
どのアウトカムを患者にとって重要と捉えるか?
事前に相対的重要度を設定
* 診断精度は患者にとって代理アウトカム
What do clinicians want?
検査精度がどのくらいの程度か?
精度の確信性(95%CIなど)は?
What do patients want?
真陽性どんな治療が受けれるか?
偽陰性で診断が遅れたらどうなるか?
重要なアウトカムを特定
DTAでは“真陽性”などが患者にとって重要なアウトカムへどう影響
するか考え、影響度に基づき相対的重要度を定義する
意思決定として重大
(7〜9点)
死亡の回避
診断の遅れ
不要な検査
9
8
7
6
5
4
3
2
1
意思決定には重要だが、
重大でない (4〜6点)
患者には重要でない
(1〜3点)
DTAにおけるアウトカムの重要度の設定
真陽性
偽陰性
真陰性
偽陽性
実際にどのように定義されているのか?
食物アレルギー(DRACMA)ガイドラインでのアウトカムの重要性
World Allergy Organization (WAO) Diagnosis and Rationale for Action against Cow’s Milk
Allergy (DRACMA) Guidelines. Pediatr Allergy Immunol. 2010 Jul;21 Suppl 21:1-125.
“真陽性”などの重要度はCQによって異なる。
詳しい事例は診療ガイドラインのためのGRADEシステム第2版p210参照
CMA: Cow’s milk allergy
アウトカム 帰結 重要性
真陽性
TP
TPの小児に対してはOFCが実施され、陽性結果となることから、管理された環境下ではあるが、アナフィラ
キシーのリスクを伴う。家族には時間や不安の面で負担がかかる。牛乳が除去され、アレルギー用ミルクが
使用される。疾患の検査前確率“高”、または負荷試験中にアナフィラキシーショックを起こすリスクの高い
小児については負荷試験を省略して治療を行う。その場合の治療の帰結は食物負荷試験を受けた小児と
同様である。
8
真陰性
TN
TNの小児は家庭で牛乳を摂取してもアレルギー反応はなく、牛乳の除去は行われず、家族に時間的負担
はなく、資源の利用 (負荷試験の実施やアレルギー用ミルクの使用) を削減できる。小児や家族が抱える不
安は家庭によって異なるだろう。症状の他の原因の究明が行われる。
7
偽陽性
FP
FPの小児にはOFCが実施され、陰性となる。家族には時間や不安の面で不要な負担がかかる。経口負荷
試験のために不要な時間と資源が費やされる。CMAの検査前確率が高い小児では負荷試験が省略される
ことから、牛乳を除去した食事やアレルギー用ミルクによる不要な治療が行われ、栄養不足に陥る可能性
がある (例: 発育不全、くる病、ビタミンDまたはカルシウム欠乏症)。また家族はストレスを抱え、高額な負担
となりうる自己注射が可能なエピネフリン製剤を不要に携帯することとなり、症状の本来の原因の診断が遅
れる。
7
偽陰性
FN
FNの小児は帰宅を許され、家庭で牛乳へのアレルギー反応 (場合によってはアナフィラキシー) を起こすこ
とになる。両親は大きな不安を抱え、未知の食材を取り入れることに消極的になる。いくつもの食品目が除
去された食事を摂取することになりかねない。症状の本来の原因 (すなわち、CMA) が見逃されるため、不
要な検査や治療につながる。
8
不確かな
結果
陰性の陽性対照、または陽性の陰性対照のいずれかに相当する。小児には再度SPTが実施されるため、
子供と親には精神的苦痛を伴うかもしれない。看護師が費やす時間や外来予約の反復から、資源への影
響も考えられる。また、小児に対してはsIgE測定または食物経口負荷試験が実施される。
5
検査の
合併症
SPTは不快感や湿疹の悪化を引き起こし、それが原因で精神的苦痛を伴う場合や、両親の不安をあおる場
合がある。食物負荷試験はアナフィラキシーや他の症状の悪化を引き起こす場合がある。
3
資源の活用
(コスト)
SPTでは外来に費やされる時間が増えるがSPT adds extra time to clinic appointment however、OFCの方
が資源への影響ははるかに大きい。
3
DRACMAガイドラインにおいて使用されたアウトカムの重要性
診療ガイドラインのためのGRADEシステム第2版p210
DTAへのGRADEアプローチの適用
疑問の定式化
とアウトカム
CQ設定(PICO)
重要なアウトカム
を特定
*各カテゴリ別帰結の定
義
TP
FP
TN
FN
死亡
罹患
QOL
害
その他
診断研究の
システマティックレビュー
QUADAS-2評価
RoBとApplicability
メタアナリシスの実施
感度
特異度
エビデンスの
質の評価
統合エビデンスに
GRADEを適応
*GRADE down5要因&up3要
因
エビデンスプロファイル
推奨の作成
4つの要因を考慮し判断
推奨の強さと方向
□ エビデンスの質
□ 利益と害のバランス
□ 価値観と好み
□ 資源の利用(コスト)
全体的なエビデンスの質
● ~を使用する(強い推奨)
● ~を 使用する(弱い推奨)
● ~を使用しない(強い推奨)
● ~を 使用しない(弱い推奨)
 データベースとしてはMEDLINE, EMBASE, Cochrane Central,
あとは領域別データベース
 調べたい検査(Index test)と病気(target condition)を用いて検索。
検索にはキーワード検索とMeshなどのシソーラス検索を行う。
 RCTの検索の時のような“研究デザインのフィルター”は十分に
確立してないので検索に使用しない。
Routine use of methodology search filters to identify diagnostic test accuracy
studies should be avoided as...(以下略)
Handbook for DTA Reviews, chapter 7 (Searching for studie
複数データベースから系統的に検索
Reference Standard (診断)
・ 診断基準として妥当か
・ Index testの結果を知らずに
診断を行ったか
Index Test (検査)
・ 検査の解釈は診断結果を
知らずに行われたか
・検査のカットオフ値は事前に
決められていたか
Flow and Timing (検査)
・ 検査と診断のタイムラグは?
・ 全例で解析しているか?
・ 全例同じ診断法を行ったか
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/guideline/pdf/QUADAS-2_JPN.pdf
Patient Selection (患者)
・ 連続/ランダム症例か
・ Two-Gateの研究を除外したか
・ 不適切な患者除外はないか
見つかった論文をQADAS-2を用いて質を吟味
QADAS-2の上記項目はあくまでデフォルトなので、SR/MAのテーマによっては
追加の項目を評価したりもする。
DTAへのGRADEアプローチの適用
疑問の定式化
とアウトカム
CQ設定(PICO)
重要なアウトカム
を特定
*各カテゴリ別帰結の定
義
TP
FP
TN
FN
死亡
罹患
QOL
害
その他
診断研究の
システマティックレビュー
QUADAS-2評価
RoBとApplicability
メタアナリシスの実施
感度
特異度
エビデンスの
質の評価
統合エビデンスに
GRADEを適応
*GRADE down5要因&up3要因
エビデンスプロファイル
推奨の作成
4つの要因を考慮し判断
推奨の強さと方向
□ エビデンスの質
□ 利益と害のバランス
□ 価値観と好み
□ 資源の利用(コスト)
全体的なエビデンスの質
● ~を使用する(強い推奨)
● ~を 使用する(弱い推奨)
● ~を使用しない(強い推奨)
● ~を 使用しない(弱い推奨)
 RevmanやSTATAなどを使用して、Summary of ROC curve書いたり、
Pooled sensitivity/specificityを算出したしるする。
メタアナリシスの実施
DTAへのGRADEアプローチの適用
疑問の定式化
とアウトカム
CQ設定(PICO)
重要なアウトカム
を特定
*各カテゴリ別帰結の定
義
TP
FP
TN
FN
死亡
罹患
QOL
害
その他
診断研究の
システマティックレビュー
QUADAS-2評価
RoBとApplicability
メタアナリシスの実施
感度
特異度
エビデンスの
質の評価
統合エビデンスに
GRADEを適応
*GRADE down5要因&up3要因
エビデンスプロファイル
推奨の作成
4つの要因を考慮し判断
推奨の強さと方向
□ エビデンスの質
□ 利益と害のバランス
□ 価値観と好み
□ 資源の利用(コスト)
全体的なエビデンスの質
● ~を使用する(強い推奨)
● ~を 使用する(弱い推奨)
● ~を使用しない(強い推奨)
● ~を 使用しない(弱い推奨)
Body of evidenceの質の評価
エビデンスの質 定義
High 今後の研究によって効果または精度の推定値に対する
確信が変わる可能性は非常に低い。
Moderate 今後の研究によって効果または精度の推定値に対する
確信に重要な影響がおよぶ可能性があり、その推定値
が変わる可能性がある。
Low 今後の研究によって効果または精度の推定値に対する
確信に重要な影響が非常に高く、推定値が変わる可能
性がある。
Very Low 効果または制度のあらゆる推定値が不確実である。
GRADEではエビデンスの質を4段階で定義する。
診療ガイドラインのためのGRADEシステム第2版p212
Body of evidenceの質の評価
エビデンスの質 定義
High 今後の研究によって効果または精度の推定値に対する
確信が変わる可能性は非常に低い。
Moderate 今後の研究によって効果または精度の推定値に対する
確信に重要な影響がおよぶ可能性があり、その推定値
が変わる可能性がある。
Low 今後の研究によって効果または精度の推定値に対する
確信に重要な影響が非常に高く、推定値が変わる可能
性がある。
Very Low 効果または制度のあらゆる推定値が不確実である。
GRADEではエビデンスの質を4段階で定義する。
診療ガイドラインのためのGRADEシステム第2版p212
じゃあ実際にどうやって
4段階に決めていくのか??
• 1つの項目が1点減点ならmoderate
• 2つの項目で1点ずつ減点なら合計2点減点でlow
• 3つ減点ならvery low
バイアスのリスク
(risk of bias)
非直接性
(indirectness)
非一貫性
(inconsistency)
不精確さ
(imprecision)
出版バイアス
(publication bias)
Body of evidenceの質の評価
D
減点法で4段階に評価
妥当なコホート研究をあつめた診断研究のメタアナリシスなら
“high”とし、下記の5項目についてそれぞれマイナス1点or2点で減
点していく。
バイアスのリスク
(risk of bias)
非直接性
(indirectness)
非一貫性
(inconsistency)
不精確さ
(imprecision)
出版バイアス
(publication bias)
Body of evidenceの質の評価
D
DTAに適用される(介入研究とは)異なる基準
診断がはっきりしない患者を対象とした横断的研究またはコホート
研究、ならびに検査結果が適切な参照基準と直接比較されている
場合、エビデンスの質は「高」と考えられる。
もともとの研究が(Two-gate study, 症例対照研究)などを用いて感
度特異度を算出して質が低ければエビデンスの質は「高」以外から
スタートする。
Body of evidenceの質の評価
バイアスのリスク(Risk of bias)
• 集団、セッティング、介入(新しい検査または指標検査)、
比較対象が合致した研究であったか?
• 2つの検査の診断精度を比較する場合、単独研究で2つの
検査が直接比較されたか?
• アウトカムに関しては、代理アウトカムとしてのTP、FP、TN、FNが
患者にとって重要なアウトカムとどのように関連しているか?
Body of evidenceの質の評価
非直接性(Indirectness)
Body of evidenceの質の評価
非一貫性(Inconsistency)
感度、特異度、Diagnostic odd ratioの点推定値、信頼区間の重なりなどで評価。
判断するための基準は介入のGRADEほど確立していない。
Sensitivity
Specificity
Body of evidenceの質の評価
不精確さ(Imprecision)
• 小さなサンプルサイズでは不精確な推定値をもたらす。
• サンプルサイズを使った不精確さ
Pooled sensitivity & specificityがそれぞれ85%、90%の時、
それらの絶対精度差として5%を検出しうる患者数か?
• 信頼区間を使った不精確さ
事前確率が低ければ(例えば有病率1%ならば)、Pooled
diagnostic valueの信頼区間が広くても、あまり問題にならない。
• 判断するための基準は介入のGRADEほど確立していない。
Body of evidenceの質の評価
出版バイアス(Publication bias)
• 多くのDTAのシステマティックレビューでは出版バイアスが示唆
される。ただ例えばCochraneでは出版バイアスの評価は非推奨。
• 手法としてはDORを用いたDeek funnel plotなど
Cochrane DTA handbook, chapter 10.6.3
Scientific Reports 4, Article number: 7521 (2014)
研究デザイ
ン
Study design
エビデンスの質
Initial quality of a
body of evidence
グレードを下げる5要因
Lower if
良質な
観察研究
High ・研究の限界
(Limitations)
・結果の非一貫性
(Inconsistency)
・エビデンスの非直線性
(Indirectness)
・データの不精確さ
(Imprecision)
・出版バイアス
(Publication Bias)
それぞれについて
−1 serious (likely)
−2 Very serious (likely)
エビデンスの質の評価
DTAへのGRADEアプローチの適用
疑問の定式化
とアウトカム
CQ設定(PICO)
重要なアウトカム
を特定
*各カテゴリ別帰結の定
義
TP
FP
TN
FN
死亡
罹患
QOL
害
その他
診断研究の
システマティックレビュー
QUADAS-2評価
RoBとApplicability
メタアナリシスの実施
感度
特異度
エビデンスの
質の評価
統合エビデンスに
GRADEを適応
*GRADE down5要因&up3要因
エビデンスプロファイル
推奨の作成
4つの要因を考慮し判断
推奨の強さと方向
□ エビデンスの質
□ 利益と害のバランス
□ 価値観と好み
□ 資源の利用(コスト)
全体的なエビデンスの質
● ~を使用する(強い推奨)
● ~を 使用する(弱い推奨)
● ~を使用しない(強い推奨)
● ~を 使用しない(弱い推奨)
Outcome 研究数 研究
デザイン
エビデンスの質を下げるかもしれない要因 1000人
あたりの効果
(有病率80%)
DTA
QoE
Risk
of bias
非直
接性
非一
貫性
不精
確さ
出版
バイアス
真陽性 23件
(2302人)
観察研
究
深刻 なし 深刻 なし なさそう 536
(512~560人) 低
偽陰性 23件
(2302人)
観察研
究
深刻 なし 深刻 なし なさそう 264人
(288~240人) 低
真陰性 23件
(2302人)
観察研
究
深刻 なし 深刻 なし なさそう 148人
(144~154人) 低
偽陽性 23件
(2302人)
観察研
究
深刻 深刻 深刻 なし なさそう 52人
(56~46人) 非常に低
不確かな
結果
1件
(310人)
観察研
究
- - - - - - -
合併症 報告なし 観察研
究
- - - - - - -
DTAに関するGRADエビデンステーブル
2012/08/01 39
GRADE pro GDT http://www.guidelinedevelopment.org/
診療ガイドラインのためのGRADEシステム第2版p223に操作についても記載
エビデンステーブルを作るためのフリーソフトウェア、是非活用を!
DTAへのGRADEアプローチの適用
疑問の定式化
とアウトカム
CQ設定(PICO)
重要なアウトカム
を特定
*各カテゴリ別帰結の定
義
TP
FP
TN
FN
死亡
罹患
QOL
害
その他
診断研究の
システマティックレビュー
QUADAS-2評価
RoBとApplicability
メタアナリシスの実施
感度
特異度
エビデンスの
質の評価
統合エビデンスに
GRADEを適応
*GRADE down5要因&up3要因
エビデンスプロファイル
推奨の作成
4つの要因を考慮し判断
推奨の強さと方向
□ エビデンスの質
□ 利益と害のバランス
□ 価値観と好み
□ 資源の利用(コスト)
全体的なエビデンスの質
● ~を使用する(強い推奨)
● ~を 使用する(弱い推奨)
● ~を使用しない(強い推奨)
● ~を 使用しない(弱い推奨)
参考資料
GRADEシステムに関する日本語の情報源
相原内科医院 webサイトにて公開しています。
http://www.grade-jpn.com/

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