Social Media for Social Good | Nov. 2010

「ソーシャルメディア for ソーシャルグッド」の潮流

拡大するソーシャルメディア利用と
社会イノベーション分野での活用について

2010年11月
株式会社ソーシャルカンパニー
市川裕康

Copyright © 2010 – Hiroyasu Ichikawa, SocialCompany, Inc.

【目次】

■自己紹介

【1】「ソーシャルメディア」の広がりと可能性

【2】「ソーシャルメディア for ソーシャルグッド」、事例紹介

【3】 SOCAP（ソーシャル・キャピタル・マーケット・カンファレンス）
報告


【自己紹介】

市川裕康＇いちかわひろやす（ | 株式会社ソーシャルカンパニー代表取締役

1994年同志社大学法学部政治学科、1996年同志社新島奨学生としてアマースト大学を卒業。

NGO団体、出版社、人材関連企業等を経て2010年3月に独立、株式会社ソーシャルカンパニー
を設立。

ソーシャルメディア・コンサルタントとして、ツイッター、ブログ等を活用したビジネス・コンサル
ティング、非営利団体や企業のCSR / 社会貢献活動の推進・支援に取り組んでいる。海外
のソーシャルメディア動向についてのリサーチ、分析、メディアトレーニングも行っている。

「社会起業家的な働き方のスタイル」をテーマにしたメールマガジン「ソシアレ」を2005年より
発行。世界80都市以上に拠点をもつ米国非営利団体「ネットスクエアード」の東京代表も務める。

「ソーシャルカンパニー」サイト：http://www.socialcompany.org/

翻訳出版物(2010年3月（
『魂を売らずに成功する～伝説のビジネス誌編集長が選んだ
飛躍のルール52』著者：アラン・M・ウェバー / 訳者：市川裕康


【関連ウェブサイトご紹介】

■ブログ | www.socialcompany.org ■ネットスクエアード| www.netsquared.jp

■講談社現代ビジネス『ソーシャルビジネス最前線』
■ツイッター | @socialcompany http://gendai.ismedia.jp/category/socialbiz


【1】「ソーシャルメディア」の広がりと可能性

情報源：YouTube - ソーシャルメディア革命２ (日本語版) http://bit.ly/ciYi9x

【主要ソーシャルメディアツールのご紹介】

【簡易型ミニブログ】【世界最大のSNS】【動画共有サイト】【画像共有サイト】

http://twitter.com/ http://www.facebook.com/ http://www.youtube.com/ http://www.flickr.com/
・140文字以内の呟き・年内世界6億人が利用・世界最大の動画共有・世界最大の画像
・圧倒的な伝播力・秀逸なアルゴリズム
・日本のネット利用者サイト共有サイト
・日本人ユーザー165万・クチコミを生みやすい
約17％が利用・豊富なアプリ・ゲーム
【ブログサービス】【ブログサービス】【ビジネス系SNS】【位置情報SNS】

http://ja.wordpress.org/ http://www.blogger.com/ http://www.linkedin.com http://foursquare.com/

・インストール型の・インストール不要の・オンライン履歴書・自分が今いる場所
ブログ管理システム無料ブログサイト掲載のSNS を「チェックイン」
・世界で最も広く利用・グーグルの各種・世界中で7500万人・位置情報に基づ
されている。サービスとの連動以上が利用。いた交流を促進
・カスタマイズが秀逸・リーマンショック後急成長

【海外ソーシャルメディアツール。様々なプラットフォーム】

出典：http://www.theconversationprism.com/


【企業でも拡がるソーシャルメディアの活用】
フォーチュン100社のうち・・・
■「79％」はツイッター、フェイスブック、ユーチューブ、ブログのいずれかを活用
■「20％」は４つ全てのソーシャルメディアツールを活用
■「50％」はユーチューブのチャンネルを持ち、月に10本のビデオを更新している。

65％
54％

50％
33％
出典：The Global Social Media Check-up
Burson-Marsteller 2010年2月

【NPOでも拡がるソーシャルメディアの活用】

85.7％
59.7％
48.1％
33.1％
25.3％
*ノンプロフィット・ソーシャルネットワーク・
ベンチマーク・レポート＇2010年4月（


【ホームページよりもソーシャルメディアに重
きを置くような事例も】
★米国赤十字社の「フェイスブック」活用事例

「21万人」の会員
「44％」
緊急災害時に誰か助けを求めている
人がいる場合、SNSサイトを利用する

「35％」
警察や病院等の機関が持つフィス
ブックページの掲示板に連絡をする。

「28%」
ツイッターのダイレクトメッセージ機能
を使い直接連絡をする。


【国内ソーシャルメディアツールの拡がり】


【国内でのソーシャルメディアをめぐる現状、兆候】

2009年～2010年はツイッター
利用が急速に拡がった。過去
数ヶ月のFacebookの急速な
利用者増加も特徴的。

出典：ニールセン
出典：Facebook統計情報サイト
＇ブログ「In the looop」 2010/10/19 より（「Facebakers」＇2010/10/23)
http://www.facebakers.com/countries-with-facebook/JP/


【過去1年間の急速なツイッターの普及増加】

【ツイッターが急速に
受け入れられている理由】
■140文字のゆるさ・気軽さ
■オープンで伝達力がある
■情報・共感の可視化と繋がり

【企業での活用例】
■広報・告知・情報開示
■営業・プロモーション
■カスタマーサポート
■企画・開発

★政治家・経営者、著名人
の利用から企業の本格的
利用へ拡がりつつある。
出典：ニールセン 2010年6月30日
「傾聴」中のケースも多い。

*これからのフェイスブックの利用者増加曲線にツイッターの過去を重ねる人も多い。

【フェイスブックとリクルート社「リクナビ2012」との提携
2010年1月日本で封切り映画『ソーシャルネットワーク』】

■企業として活用する際に使い
やすく、効果的であるとして
期待が集まっている。

・画像・動画等の共有が便利
・きめ細かい設定、リアルタイム性
・コミュニティ運営に適している。

【2】「ソーシャルメディア for ソーシャルグッド」事例紹介

～ソーシャルメディアの爆発的な発達と社会貢献活動のコラボレーション


【海外事例①】キックスターター＇「投げ銭」のしくみ（

■クリエイターの間では主要な資金調達プラットフォームになりつつあるキックスターター

Facebookのプライバシー・ポリシーに問題意識を
持った19歳から22歳の学生4人により始められたと
いうオープンソースによる個人情報保護を謳ったＳ
ＮＳのプロジェクト。当初目標としていた金額1万ドル
はすぐに達成され、結果的には約40日間を経て、
目標の20倍、約20万ドル＇1700万円（以上の支援
が、約6500人＇FacebookCEO マーク・ザッカー
バーグ氏含む（から提供された。

【海外事例②】ペプシ / リフレッシュプロジェクト
クラウドソース型ファンドレイジングキャンペーン

【リフレッシュ・エブリシング・プロジェクト概要】
23年出稿していたスーパーボールのTVCMを
止め、10ヶ月で2000万ドル＇約16億円（の寄付
プログラムを開始 2010年1月

■ 20101月から10ヶ月間。毎月月の前半に最
大1000のプロジェクト
■対象テーマ：医療、芸術&文化、食糧&住居、
地球、コミュニティー、教育

■毎月最大1000のプロジェクトを募り、オンラ
インでのみ投票が可能。
■プロジェクト参加資格：個人、NPO、企業も含
む＇米国内に限る（
■賞金の分配について
毎月130万ドルを以下の要領で提供
$250,000の賞金が2つのプロジェクトに
ファンの数：185万人 $50,000 $25,000、 $5,000 の賞金がそれぞれ
10のプロジェクトに

【海外事例③】Facebook
～ JPモルガン・チェース / 「チェイス・コミュニティ・ギビング・プログラム」

【チェイス・コミュニティ・ギビングの概要】

総額500万ドル
＇約4億1千万円（を「クラウドソース」で
NPOからの応募申請を募り、参加者が一
定期間＇1ヶ月間（の間に投票する。

選ばれた 200団体
に最高25万ド
ル＇1団体（、10万ドル＇4団体（、2万ドル
＇195団体（が寄付される。

合計 250万人が投票に参加


【海外事例④】Facebook アプリ「Causes」
～アフラック /小児がん撲滅キャンペーン

125万人の参加
116万ドルの寄付
一人=1ドルのマッチングギフト＆寄付

1億2千万人
「Causes」は現在弱の
ユーザーが登録するフェイスブックのアプリ。
興味･関心のあるチャリティ、社会的活動に関して
フェイスブック上の友人･知人に意識を喚起し、寄付
を募ることを可能にするプラットフォーム。
・約４５万件の「Causes」が作成＇2007年5月～（
・今までの寄付額約2700万ドル(約22億円)
「Birthday Wish」機能は1日に
・1日の平均寄付額は約5万ドル、一人当たり
2万ドルの寄付を集める。
の平均寄付額は25ドル

【海外事例⑤】スマートフォンを利用した『CauseWorld』
～ P&G, Citi, Kraft Foods

①提携店舗を訪れ、「チェックイン」、或
いは提携商品をスキャンしポイント獲得。

②提携先の29のチャリティにポイントを
寄付。選ばれた団体にはスポンサー
からの寄付が送られる。

③企業は顧客情報とブランディング効果
が得られる。

【海外事例⑥】企業のCSR活動、NPO、個人を繋げる
オンライン・プラットフォーム
「JustMeans」：2007年10月に設立された、社会貢献的な意識が高
い企業と個人を繋ぐためのオンライン・プラットフォーム・サイト。

企業はアカウントを開設することでCSRレポート、
プレスリリース、ブログ、動画、ツイッターの更新情報
を、また求人情報も掲載が可能。参加する個人も
SNSとしてツイッター、フェイスブック、リンクドイン等、
広く使われているソーシャルメディア・サービスを同
一サイト内で管理することが可能。

■企業＆団体数：約950社（団体） *昨年8月の時点では100社
＇Fortune500企業から中小企業、ＮＰＯ、財団、ソーシャルベンチャーまで幅広い企業・
団体が登録されている。約3万人が経営層、フォーチュン250社の90%、FTSEの80%の
管理職が参加している。（

■個人会員数：約25万人 *昨年8月の時点では10万人
＇2700人の社会起業家、3500人のブロガー、ジャーナリスト、18000人のMBA保持者（

【海外事例⑦】フラッシュマーケティング＋「Cause」
地域のビジネス、NPO、個人との「win-win-win」
【コーズオン】＇ http://causeon.com/（は、オレゴン
に拠点を持つ、急成長する「グルーポン系」フラッ

シュ・マーケング会社。売上の 15～20％
を指定した「NPOやチャリティに寄付される点が特
徴。

「フラッシュマーケティング」とは：
割引料金などの特典がついたクーポンを期間限
定でオンライン販売する手法。多くの場合一定数
以上の成約件数が前提。ツイッター、フェイスブッ
クなどによって、瞬間的にユーザーに情報を伝播
＇でんぱ（させ、販売にまで直結させるマーケティン
グ手法として脚光を集めている。

既に「スーザン・G・コーメン乳がん基金」、「スペ
シャルオリンピック」「YWCA」等実績のあるＮＰＯ
等のパートナー20団体と提携。


【海外事例⑧】中間支援団体、コンサルティング会社の存在

コーン社(Cone, Inc)：コーズ・リレーテッド・マーケティング
分野の草分けとして知られるブランドコンサルティング会社＇1980
年設立、ボストン（。過去にエイボン社、リーボック社等、大手企業
のコーズ・リレーテッド・マーケティングキャンペーンを手掛けてきた
ことで知られている。現在はオムニコムグループ傘下。同社が過去
17年間実施している調査「コーズ・エボルーション・スタディ」による
と、18歳～24歳の「ミレニアム世代」の85%が「社会・環境にいい
ことを支援する商品・ブランド」の購入を希望する(全体平均は
81%)と回答。ソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)を自由に
使いこなし、口コミの影響力を持つグループの顕著な特徴といえる。

・コンヴィオ社（Convio,Inc)
・ブラックボード（Blackbaud, Inc.）
２社共にNPO向にオンラインCRM＇カスタマー・リレーション
シップ・マネジメント（ソフトウェアを提供する、ナスダック上場
会社。寄付者管理、業務効率化支援に実績。コンヴィオ社
顧客1300団体は２０１０年9ヶ月で10億ドル（約820億円）
のオンライン寄付を集めることに成功。ブラックボードの2009年
売上は３億１千万ドル（約250億円）。

ソーシャルメディアの爆発的な発達と社会貢献活動のコラボレーション

・求められる情報開示
・CSR活動・求められる業務効率化・IT化
・ステークホルダー、顧客との・広報活動＇支援者獲得（が容易に
新しいエンゲージメント ■寄付・社会課題の認知向上支援・広がるファンドレイジングの可能性
＇マーケティング（

企業 ■社会貢献的ブランディング NPO
CRM
プラットフォーム
↓意義ある活動への
参加・協力の機会
↓商品・サービス
↑寄付・口コミ告知支援
↑ 購買活動・口コミ

・高まる「コーズ」への関心・共感消費者
・マス広告より友人・知人の口コミを信頼
生活者
・オンライン寄付市場は過去12年で30万ドルから
154億ドル＇約1兆2600億円（へ。50万倍の規模

【ソーシャルメディアがもたらしつつあるもの】

■「共感の可視化」により可能になった
「人、モノ、お金のマッチング」
■爆発的なスピード感と規模を伴ったクチコミ情報

■少額寄付決済システム

■背景にある価値観としてのコーズ（社会的大義）へ共感

■「所有」から「共有」への価値観の変化


■「ソーシャルメディア for ソーシャルグッド」の潮流

・本日ご紹介した米国の海外事例は、既にソーシャルメ
ディアの利活用が社会の中である程度成熟した社会での
こと。すぐに同じ形で日本に拡がるとは限らない。

・ただ今後の消費活動を担う若年層によるソーシャルメ
ディア活用が拡がるに従い、消費活動、社会的課題への
関わり方に変化がもたらされると思われる。

・企業、NPO、個人等、様々なステークホルダーを繋ぐ
オンラインプラットフォームの成熟が顕著。中間支援組
織、コンサルティング会社、メディア、システム・ベン
ダー等の生態系の発展も重要な役割を果たしている。

【3】 SOCAP
（ソーシャル・キャピタル・マーケット・カンファレンス）
報告


【各分科会テーマ】

・「評価基準とシステム思考」
・「エンブレイス・ディスラプション(崩壊の中
で変容するメディアのあり方)」
・「インパクト投資」
・「戦略的フィランソロフィー」
・「モバイル・テクノロジー」
・「食料システム」
・「国際的開発分野におけるイノベーション」
・「新しいお金」


GIIRS Pioneer Funds ～25のプライベート・エクイ
ティ会社とベンチャーキャピタル会社＇預かり金額合計12億ド
ル（。投資先は途上国や先進国にあるソーシャルエンタープ
ライズ。投資の指標にはGIIRSを利用。
GIIRS= (Global Impact Investment Rating Systemの略)


ソーシャルメディアの爆発的な発達と社会貢献活動のコラボレーション

政府
財団
USAID、国務省
NPO
■寄付・社会課題の認知向上支援→
企業社会起業家
ソーシャルエンタープライズ
VC・ファンド
■←社会貢献的ブランディング

社会課題 ↓意義ある活動への
貧困・環境・医療・教育参加・協力の機会
↓商品・サービス
↑ 購買活動・口コミ ↑寄付・口コミ告知支援
【キーワード】
・インパクト投資【プラットフォーム】
・オープンイノベーション
・マッチングギフト
・デザイン・シンキング
・クラウドソーシング個人
・コーズマーケティング
・オープンイノベーション消費者
・BOP
・マイクロファイナンス生活者

どうも有難うございました。
株式会社ソーシャルカンパニー
市川裕康
-www.socialcompany.org

【連絡先】
e-mail： hiroyasu.ichikawa@socialcompany.org
Twitter: @socialcompany
TEL: 080-2044-3998


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