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EBM‘ 超’実践法
エビデンスを患者に役立てるため
に
 
名郷直樹
自己紹介
1986 年 自治医大卒
 同年
名古屋第二赤十字病院研修医
 1988 年 作手村国保診療所
 1992 年 自治医大地域医療学
 1995 年 作手村国保診療所
 2003 年 社)地域医療振興協会
       東京北...
クリニックでの仕事


1 日 70 人 -150 人程度の外来




50% が小児、 10% が予防注射

50 人程度の在宅患者



20% が末期がん患者
平均訪問期間 63 日
このセッションの内容


がん検診についての EBM の実践の一例









5 つのステップ
PECO 、真のアウトカム
歩きながら論文を読む:メタ分析編
相対危険、スクリーニング必要数、害必要
数、 LHH
相対利益...
患者シナリオ


42 歳女性



乳がんの家族歴なし



乳がん検診は毎年受けたほうがいいのでし
ょうか?
患者シナリオ


76 歳女性



高血圧、糖尿病で通院中



乳がん検診は受けたほうがいいのでしょう
か?
2013/9/13 新聞記事
EBM の 5 つのステップ
1.
2.
3.
4.
5.

問題の定式化
問題についての情報収集
得られた情報の批判的吟味
情報の患者への適用
1-4 のステップの評価
Step1. 問題の定式化


Patient :どんな患者に



Exposure :どのような治療、検査をしたら



Comparison :どんな治療、検査と比べ



Outcome :どうなるか
Step1. 問題の定式化


Patient : 40 代の女性で、あるいは 70 代の女性で



Exposure :乳がん検診を受けるのと



Comparison :受けないのと比べて



Outcome :


マンモ...
EBM の 5 つのステップ
1.

2.
3.
4.
5.

問題の定式化
問題についての情報収集
得られた情報の批判的吟味
情報の患者への適用
1-4 のステップの評価
乳がんガイドライン 2008


40 歳代








0.85  ( 0.73 ~ 0.98 )

50 歳以上




RR

推奨度 B
推奨度 A

RR
0.78  ( 0.70 ~ 0.85 )
年齢の上限は設け...
PubMed 検索: Clinical Queries
PubMed の Clinical Queries を使う


Breast cancer, screening, mammography
検索された論文






Gøtzsche PC, Nielsen M. Screening for
breast cancer with mammography.
Cochrane Database Syst Rev. 2011 Ja...
さらに日本語で情報を得たい


CMEC-TV




ビデオ配信によるエビデンスの情報提供(無料)

CMEC ジャーナルクラブ





Community Medicine Evidence Center 編集部が提
供する英...
CMEC ジャーナルクラブ
EBM の 5 つのステップ
1.
2.

3.
4.
5.

問題の定式化
問題についての情報収集
得られた情報の批判的吟味
情報の患者への適用
1-4 のステップの評価
3 つの批判的吟味




研究方法は妥当か
結果は何か
患者に役立つか
歩きながら論文を読む:メタ分析
編


研究方法は妥当か?





論文のPECOを読む
ランダム化比較試験のメタ分析かを読む

結果は何か?


一次アウトカムの結果を読む
論文の PECO
P:   39 ~ 69 歳の女性 
E:  マンモグラフィによる乳がん検診











毎年  3 試験、 18-24 カ月ごと  1 試験

C:  検診なし
O:  乳がんによる死亡 ( 13 年...
結果 1 : 13 年追跡での乳がん死亡



質が低いものも含む9つの RCT
39 ~ 69 歳




50 歳未満




RR   0.84  ( 0.73 ~ 0.96 )

50 歳以上




RR   0.81...
結果を実数でみる




558/297812   VS   747/318515
乳がん死亡が 0.23 %から 0.19 %に減少
絶対リスク減少 :   0.04 %



メタ分析による明確なエビデンス?
ガイドラインの推奨度...
結果 2 :適切な RCT に限ると




39 ~ 69 歳
 RR   0.90  ( 0.79 ~ 1.02 )

50 歳未満




50 歳以上





RR   0.87  ( 0.73 ~ 1.03 )
RR...
50 歳未満で
50 歳から 69 歳で
また別の角度で:相対利益






イベントを起こしていないもので比較してみる
 297254/297812 vs 317768/318515
 乳がん死亡なしが、 99.77 %から 99.81 %
に増加
Relative Be...
結果のまとめ


乳がん検診の効果はあるとしても小さい




13 年で乳がんで死ぬ人は対照群でも 0.2%




質の高い研究ほど小さな効果
13 年では乳がん死亡は少ない

検診でなくとも早期発見が可能で、もともと
予後がよい...
EBM の 5 つのステップ
1.
2.
3.

4.
5.

問題の定式化
問題についての情報収集
得られた情報の批判的吟味
情報の患者への適用
1-4 のステップの評価
患者シナリオ


42 歳女性



乳がんの家族歴なし



乳がん検診は毎年受けたほうがいいのでし
ょうか?
患者シナリオ


76 歳女性



高血圧、糖尿病で通院中



乳がん検診は受けたほうがいいのでしょう
か?
あなたならどうする?






あなたが主治医だったとして、患者にどう説
明するか、考えてみましょう
あなたが患者だったとして、乳がん検診を受
けるかどうか
周りの人と話し合ってみましょう
さらに別の角度で



全乳がん患者で考える
絶対数として助かる乳がん患者






乳がん死亡率  10 人 /10 万( 1 年)
1000 万人の女性がいると 1000 人が乳がん死
10 %の乳がん死亡の減少
1000 ...
患者への適用の公式

1.

2.

3.

論文の患者と目の前の患者は結果が適用
できないほど異なっていないか?
臨床上重要なすべてのアウトカムが評価
されたか?
コストや害を上回る効果が期待できるか
?
論文の患者と目の前の患者のギャッ
プ


論文






39 ~ 69 歳
欧米人
検診間隔 毎年から 1.5-2 年毎まで様々

目の前の患者



40 代、 70 代
日本人
様々なアウトカム







乳がんによる死亡
寿命
不安、憂うつ
幸せ
コストと害
総死亡で


RR   0.99  ( 0.95 ~ 1.03 )
コスト





がん検診の受診料
公費負担
検診提供側のコスト
精査のためのコスト
害について






検診結果を待つ不安
偽陽性で憂うつ
誤診の危険は?
被爆によるがんの危険は?
診断後の治療による害の危険は?




誤診のためにがんにされてしまったり
マンモグラフィーの被爆でがんになる人がいる
乳がん...
偽陽性と biopsy が行われる率


40 代





60 台





97.8/1000 検診が偽陽性
9.3/1000 検診に biopsy
79.0/1000 検診が偽陽性
11.6/1000 検診に biopsy...
がんの罹患


RR   1.25  ( 1.18 ~ 1.34 )
乳房切除


RR   1.20  ( 1.08 ~ 1.32 )
放射線治療


RR   1.24  ( 1.04 ~ 1.49 )
乳がんと診断された患者での乳がん
以外のガン死亡


RR   2.42  ( 1.00 ~ 5.85 )
その他の結果のまとめ






死亡
0.99  ( 0.97 ~ 1.01 )
乳房切除
1.20  ( 1.08 ~ 1.32 )
放射線治療 1.24  ( 1.04 ~ 1.49 )
がんの罹患 1.25  ( 1.18 ~...
NNS を計算する


Number Needed to Screen




何人検診を受けると、検診のおかげで 1 人のがん
死亡を予防できるか

39 ~ 69 歳
 558/297812   VS   747/318515
 ...
NNH を計算する


NNH : Number Needed to Harm





害必要数
何人検診を受けると検診のために有害事象が発生
するか

乳房切除について




1542/ 145536 vs 969 /104...
NNT と NNH の比をとる: LHH


Likelihood of being Helped vs Harm: LHH
 LHH = (1/NNT) :( 1/NNH )
     =( 1/2121) :( 1/ 735 )= 0....
LHH を見積もる
目の前の患者が乳がんの家族歴のない 40 代
 調整 LHH=(1/NNT)×ft×s :( 1/NNH ) ×fh
    ft :目の前の患者のイベントリスク: 1/2 倍
    fh :目の前の患者の乳房切除のリス...
がん検診の負の側面

情報がコントロールされている?
がん検診の負の側面 1



早期がんと進行がんとで比べて
がんと付き合う月日はどちらが長いか





早期がんで、その後 10 年の通院
進行がんで、発見から 1 ヶ月の入院で死亡

がん検診でがんが見つかると、長期間にわた
って...
がん検診の負の側面 2


あまり早期だと、自分の寿命に全然関係ないが
んかもしれない
 100 歳の早期がん
 がんの進行より寿命のほうが早い
 それなのに、「がん」だと余計なことを言
われる
 「余計なお世話がん」
 高齢になる...
検診診断乳がんの 30 %が
過剰診断?
New Engl J Med 2012; 367: 1998-2005
早期がんの数が増えるだ
け
神経芽細胞種で


たくさん見つかったが死亡率は変わらない

発見数

死亡
Cancer Causes and
Control, 1998, 9, pp. 631
なぜ進行がんが減らないのか


乳がん全体が増えている?




早期で見つかっても治療していない?




そうであれば現実の検診そのものが無効

early から late まで 20 年以上?




年率 0.5 %で増加...
過剰診断の内訳





本当はがんでないもの
可逆的ながん
がんだったけれど、結局別の病気で死んだ
自然死よりも乳がんの自然経過の方が長い






どれを過剰診断とみるか
すべて過剰診断と考えたほうがいい

本当は、「本当...
学会での 2 つの出来事



乳がん検診に対して負の部分を発表した後
2011 学会名忘れました




「検診を邪魔するやつは許さん!」

2013 乳がん学会


発表後のディスカッションで発言の機会なし
EBM の 5 つのステップ
1.
2.
3.

4.
5.

問題の定式化
問題についての情報収集
得られた情報の批判的吟味
情報の患者への適用
1-4 のステップの評価
あなたならどうする?


これまでのエビデンスを踏まえて、あなた自
身がこの患者だったとして、どうするかまわ
りの人と話し合ってみましょう


検診を受けるか受けないか
ロールプレイ




隣同士でじゃんけんです
勝った人が医師、負けた人が患者です
外来で、一週間後再び患者さんに以下のよう
に質問されました




「やっぱり乳がんの検診を受けたほうがいいです
よね。是非検査してください」

続きを...
ロールプレイを振り返る


ロールプレイを振り返って






医者役
患者役
観察者

論文結果をどう説明するか議論しましょう
以下のうち最も幸せなのはどれか







がん検診をたくさん受けて、がんで死なず、
長生きした
がん検診を受けず、がんで早死にした
がん検診をたくさん受けて、がんで早死にし
た
がん検診を受けず、がんにならず、長生きし
た


...
私の私見


ガイドラインは、絶対リスクでの有効性の評
価、害とコストの評価が甘い!




私は自分の妻には勧めていません
まあ勧めても受けませんけど
患者さんには、勧める場合もあると思う。ただ個
別の話をよく聞いた上で、絶対リスク、...
医療は最善の選択肢を示せるか?




示すことは不可能である
ただ確率を示すことは出来る
しかし、検診を受けるか受けないかは賭けで
ある







賭けである以上、勝つこともあれば、負けること
もある
確率が高いほうにかけれ...
明確なエビデンスとは?


エビデンスが示すものはむしろあいまい





このようなエビデンスがあるからこうやった




EBM に似て非なるもの
 Evidence-Biased Medicine

このようなエビデンスはあ...
私にとっての EBM の実践






目の前の患者の話をよく聞き、よく診察し
(患者からのエビデンス=ナラティブ)
その患者によく似た患者についての研究結
果をよく勉強し (外部のエビデンス)
その二つの情報を統合し


目の前の患...
何かの参考になれば
緩和医療の教科書も


コンサルテーションスキルについて書きまし
た
参考までに


ステップアップ EBM 実践ワークブック




臨床研究の ABC




メディカルサイエンス社

臨床研究と論文作成のコツ : 読む・研究する・
書く




南江堂

東京医学社

後悔したくないなら「医者...
質問があれば

何でも聞いてください
国立がんセンターEbm
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国立がんセンターEbm

  1. 1. EBM‘ 超’実践法 エビデンスを患者に役立てるため に   名郷直樹
  2. 2. 自己紹介 1986 年 自治医大卒  同年 名古屋第二赤十字病院研修医  1988 年 作手村国保診療所  1992 年 自治医大地域医療学  1995 年 作手村国保診療所  2003 年 社)地域医療振興協会        東京北社会保険病院臨床研修セン ター  2011 年 武蔵国分寺公園クリニック  専門領域 医者 
  3. 3. クリニックでの仕事  1 日 70 人 -150 人程度の外来   50% が小児、 10% が予防注射 50 人程度の在宅患者   20% が末期がん患者 平均訪問期間 63 日
  4. 4. このセッションの内容  がん検診についての EBM の実践の一例        5 つのステップ PECO 、真のアウトカム 歩きながら論文を読む:メタ分析編 相対危険、スクリーニング必要数、害必要 数、 LHH 相対利益 がん検診の負の側面 実際の臨床現場にエビデンスをどう活かすか
  5. 5. 患者シナリオ  42 歳女性  乳がんの家族歴なし  乳がん検診は毎年受けたほうがいいのでし ょうか?
  6. 6. 患者シナリオ  76 歳女性  高血圧、糖尿病で通院中  乳がん検診は受けたほうがいいのでしょう か?
  7. 7. 2013/9/13 新聞記事
  8. 8. EBM の 5 つのステップ 1. 2. 3. 4. 5. 問題の定式化 問題についての情報収集 得られた情報の批判的吟味 情報の患者への適用 1-4 のステップの評価
  9. 9. Step1. 問題の定式化  Patient :どんな患者に  Exposure :どのような治療、検査をしたら  Comparison :どんな治療、検査と比べ  Outcome :どうなるか
  10. 10. Step1. 問題の定式化  Patient : 40 代の女性で、あるいは 70 代の女性で  Exposure :乳がん検診を受けるのと  Comparison :受けないのと比べて  Outcome :  マンモグラフィの感度・特異度は  乳がんによる死亡は 減少するか  寿命は延びるか  幸せになるか
  11. 11. EBM の 5 つのステップ 1. 2. 3. 4. 5. 問題の定式化 問題についての情報収集 得られた情報の批判的吟味 情報の患者への適用 1-4 のステップの評価
  12. 12. 乳がんガイドライン 2008  40 歳代     0.85  ( 0.73 ~ 0.98 ) 50 歳以上   RR 推奨度 B 推奨度 A RR 0.78  ( 0.70 ~ 0.85 ) 年齢の上限は設けられていない これで態度を決めてもいいのですが 今日はガイドラインの記述でいいのかどう か、吟味してみます
  13. 13. PubMed 検索: Clinical Queries
  14. 14. PubMed の Clinical Queries を使う  Breast cancer, screening, mammography
  15. 15. 検索された論文    Gøtzsche PC, Nielsen M. Screening for breast cancer with mammography. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Jan 19;1:CD001877. PubMed PMID: 21249649.
  16. 16. さらに日本語で情報を得たい  CMEC-TV   ビデオ配信によるエビデンスの情報提供(無料) CMEC ジャーナルクラブ    Community Medicine Evidence Center 編集部が提 供する英語論文(ランダム化比較試験、メタアナ リシス)の日本語要約の提供サービス 5250 円 / 年 http://www.cmec.jp/
  17. 17. CMEC ジャーナルクラブ
  18. 18. EBM の 5 つのステップ 1. 2. 3. 4. 5. 問題の定式化 問題についての情報収集 得られた情報の批判的吟味 情報の患者への適用 1-4 のステップの評価
  19. 19. 3 つの批判的吟味    研究方法は妥当か 結果は何か 患者に役立つか
  20. 20. 歩きながら論文を読む:メタ分析 編  研究方法は妥当か?    論文のPECOを読む ランダム化比較試験のメタ分析かを読む 結果は何か?  一次アウトカムの結果を読む
  21. 21. 論文の PECO P:   39 ~ 69 歳の女性  E:  マンモグラフィによる乳がん検診        毎年  3 試験、 18-24 カ月ごと  1 試験 C:  検診なし O:  乳がんによる死亡 ( 13 年間) ランダム化比較試験( RCT) のメタ分析 質の高い RCT は 4 つ
  22. 22. 結果 1 : 13 年追跡での乳がん死亡   質が低いものも含む9つの RCT 39 ~ 69 歳   50 歳未満   RR   0.84  ( 0.73 ~ 0.96 ) 50 歳以上   RR   0.81  ( 0.74 ~ 0.87 ) RR   0.77  ( 0.69 ~ 0.86 ) 日本のガイドラインと矛盾しない
  23. 23. 結果を実数でみる    558/297812   VS   747/318515 乳がん死亡が 0.23 %から 0.19 %に減少 絶対リスク減少 :   0.04 %   メタ分析による明確なエビデンス? ガイドラインの推奨度に矛盾しない?
  24. 24. 結果 2 :適切な RCT に限ると   39 ~ 69 歳  RR   0.90  ( 0.79 ~ 1.02 ) 50 歳未満   50 歳以上    RR   0.87  ( 0.73 ~ 1.03 ) RR   0.94  ( 0.77 ~ 1.15 ) はっきりしない結果 質の高いものと低いものとどちらを信用する か?
  25. 25. 50 歳未満で
  26. 26. 50 歳から 69 歳で
  27. 27. また別の角度で:相対利益    イベントを起こしていないもので比較してみる  297254/297812 vs 317768/318515  乳がん死亡なしが、 99.77 %から 99.81 % に増加 Relative Benefit  1.0005 (1.0002-1.0007) 乳がんで死亡しない確率が 1.0005 倍になります
  28. 28. 結果のまとめ  乳がん検診の効果はあるとしても小さい   13 年で乳がんで死ぬ人は対照群でも 0.2%   質の高い研究ほど小さな効果 13 年では乳がん死亡は少ない 検診でなくとも早期発見が可能で、もともと 予後がよい乳がんの検診効果は小さい  検診をやる前からそれは自明
  29. 29. EBM の 5 つのステップ 1. 2. 3. 4. 5. 問題の定式化 問題についての情報収集 得られた情報の批判的吟味 情報の患者への適用 1-4 のステップの評価
  30. 30. 患者シナリオ  42 歳女性  乳がんの家族歴なし  乳がん検診は毎年受けたほうがいいのでし ょうか?
  31. 31. 患者シナリオ  76 歳女性  高血圧、糖尿病で通院中  乳がん検診は受けたほうがいいのでしょう か?
  32. 32. あなたならどうする?    あなたが主治医だったとして、患者にどう説 明するか、考えてみましょう あなたが患者だったとして、乳がん検診を受 けるかどうか 周りの人と話し合ってみましょう
  33. 33. さらに別の角度で   全乳がん患者で考える 絶対数として助かる乳がん患者      乳がん死亡率  10 人 /10 万( 1 年) 1000 万人の女性がいると 1000 人が乳がん死 10 %の乳がん死亡の減少 1000 万人の女性で 100 人の乳がん死亡が減少 1 億人の女性で 1000 人の乳がん死亡が減少
  34. 34. 患者への適用の公式 1. 2. 3. 論文の患者と目の前の患者は結果が適用 できないほど異なっていないか? 臨床上重要なすべてのアウトカムが評価 されたか? コストや害を上回る効果が期待できるか ?
  35. 35. 論文の患者と目の前の患者のギャッ プ  論文     39 ~ 69 歳 欧米人 検診間隔 毎年から 1.5-2 年毎まで様々 目の前の患者   40 代、 70 代 日本人
  36. 36. 様々なアウトカム      乳がんによる死亡 寿命 不安、憂うつ 幸せ コストと害
  37. 37. 総死亡で  RR   0.99  ( 0.95 ~ 1.03 )
  38. 38. コスト     がん検診の受診料 公費負担 検診提供側のコスト 精査のためのコスト
  39. 39. 害について      検診結果を待つ不安 偽陽性で憂うつ 誤診の危険は? 被爆によるがんの危険は? 診断後の治療による害の危険は?    誤診のためにがんにされてしまったり マンモグラフィーの被爆でがんになる人がいる 乳がんの治療により別の疾患が増えるかもしれな い
  40. 40. 偽陽性と biopsy が行われる率  40 代    60 台    97.8/1000 検診が偽陽性 9.3/1000 検診に biopsy 79.0/1000 検診が偽陽性 11.6/1000 検診に biopsy 80 代   64.0/1000 検診が偽陽性 12.2/1000 検診に biopsy Ann Intern Med 2009; 151: 727
  41. 41. がんの罹患  RR   1.25  ( 1.18 ~ 1.34 )
  42. 42. 乳房切除  RR   1.20  ( 1.08 ~ 1.32 )
  43. 43. 放射線治療  RR   1.24  ( 1.04 ~ 1.49 )
  44. 44. 乳がんと診断された患者での乳がん 以外のガン死亡  RR   2.42  ( 1.00 ~ 5.85 )
  45. 45. その他の結果のまとめ      死亡 0.99  ( 0.97 ~ 1.01 ) 乳房切除 1.20  ( 1.08 ~ 1.32 ) 放射線治療 1.24  ( 1.04 ~ 1.49 ) がんの罹患 1.25  ( 1.18 ~ 1.34 ) 乳がん以外のがん死亡 2.42  ( 1.00 ~ 5.85 )
  46. 46. NNS を計算する  Number Needed to Screen   何人検診を受けると、検診のおかげで 1 人のがん 死亡を予防できるか 39 ~ 69 歳  558/297812   VS   747/318515  NNT ( 13 年) 2121  ( 1428 ~ 4119 )
  47. 47. NNH を計算する  NNH : Number Needed to Harm    害必要数 何人検診を受けると検診のために有害事象が発生 するか 乳房切除について    1542/ 145536 vs 969 /104943 NNH   735  ( 467 ~ 1725 ) 735 人が検診を受けると 1 人の乳房切除が行われ る
  48. 48. NNT と NNH の比をとる: LHH  Likelihood of being Helped vs Harm: LHH  LHH = (1/NNT) :( 1/NNH )      =( 1/2121) :( 1/ 735 )= 0.35 害が 3 倍?  調整 LHH=(1/NNT)×ft×s :( 1/NNH ) ×fh     ft :目の前の患者のイベントリスク     fh :目の前の患者の乳房切除のリスク     s :イベントの副作用に対する重み付け  乳がん死亡の減少を乳房切除より何倍重要と 考えると効果と害がつりあうか
  49. 49. LHH を見積もる 目の前の患者が乳がんの家族歴のない 40 代  調整 LHH=(1/NNT)×ft×s :( 1/NNH ) ×fh     ft :目の前の患者のイベントリスク: 1/2 倍     fh :目の前の患者の乳房切除のリスク: 1     s :イベントの副作用に対する重み付け      = (1/2121)×1/2×6 :( 1/735 ) ×1  =   1.04  乳がん死亡の減少を乳房切除より 6 倍重要と考えて 効果と害がつりあう 
  50. 50. がん検診の負の側面 情報がコントロールされている?
  51. 51. がん検診の負の側面 1   早期がんと進行がんとで比べて がんと付き合う月日はどちらが長いか    早期がんで、その後 10 年の通院 進行がんで、発見から 1 ヶ月の入院で死亡 がん検診でがんが見つかると、長期間にわた ってがんと付き合わないといけない!
  52. 52. がん検診の負の側面 2  あまり早期だと、自分の寿命に全然関係ないが んかもしれない  100 歳の早期がん  がんの進行より寿命のほうが早い  それなのに、「がん」だと余計なことを言 われる  「余計なお世話がん」  高齢になるほど、「余計なお世話がん」が 増加
  53. 53. 検診診断乳がんの 30 %が 過剰診断? New Engl J Med 2012; 367: 1998-2005
  54. 54. 早期がんの数が増えるだ け
  55. 55. 神経芽細胞種で  たくさん見つかったが死亡率は変わらない 発見数 死亡 Cancer Causes and Control, 1998, 9, pp. 631
  56. 56. なぜ進行がんが減らないのか  乳がん全体が増えている?   早期で見つかっても治療していない?   そうであれば現実の検診そのものが無効 early から late まで 20 年以上?   年率 0.5 %で増加していると仮定しても説明でき ない そうだとすると早期発見の意味はますます少ない バイアスだけで説明できるとは思えない
  57. 57. 過剰診断の内訳     本当はがんでないもの 可逆的ながん がんだったけれど、結局別の病気で死んだ 自然死よりも乳がんの自然経過の方が長い     どれを過剰診断とみるか すべて過剰診断と考えたほうがいい 本当は、「本当のがん」なんて存在しない 事後的に判断できるだけ
  58. 58. 学会での 2 つの出来事   乳がん検診に対して負の部分を発表した後 2011 学会名忘れました   「検診を邪魔するやつは許さん!」 2013 乳がん学会  発表後のディスカッションで発言の機会なし
  59. 59. EBM の 5 つのステップ 1. 2. 3. 4. 5. 問題の定式化 問題についての情報収集 得られた情報の批判的吟味 情報の患者への適用 1-4 のステップの評価
  60. 60. あなたならどうする?  これまでのエビデンスを踏まえて、あなた自 身がこの患者だったとして、どうするかまわ りの人と話し合ってみましょう  検診を受けるか受けないか
  61. 61. ロールプレイ    隣同士でじゃんけんです 勝った人が医師、負けた人が患者です 外来で、一週間後再び患者さんに以下のよう に質問されました   「やっぱり乳がんの検診を受けたほうがいいです よね。是非検査してください」 続きをロールプレイしてみてください
  62. 62. ロールプレイを振り返る  ロールプレイを振り返って     医者役 患者役 観察者 論文結果をどう説明するか議論しましょう
  63. 63. 以下のうち最も幸せなのはどれか     がん検診をたくさん受けて、がんで死なず、 長生きした がん検診を受けず、がんで早死にした がん検診をたくさん受けて、がんで早死にし た がん検診を受けず、がんにならず、長生きし た    私として 4 番目か、 2 番目か 3 番目は最悪 最悪を避けるためにはがん検診を受けない
  64. 64. 私の私見  ガイドラインは、絶対リスクでの有効性の評 価、害とコストの評価が甘い!    私は自分の妻には勧めていません まあ勧めても受けませんけど 患者さんには、勧める場合もあると思う。ただ個 別の話をよく聞いた上で、絶対リスク、害、コス トについても必ず説明したい
  65. 65. 医療は最善の選択肢を示せるか?    示すことは不可能である ただ確率を示すことは出来る しかし、検診を受けるか受けないかは賭けで ある     賭けである以上、勝つこともあれば、負けること もある 確率が高いほうにかければいいとは限らない 確率が低いほうにかける場合だってある 人生が賭けであるように、医療も賭けなので す! 
  66. 66. 明確なエビデンスとは?  エビデンスが示すものはむしろあいまい    このようなエビデンスがあるからこうやった   EBM に似て非なるもの  Evidence-Biased Medicine このようなエビデンスはあるが、患者にはこう した   明確なのは統計学的に明確なだけ その治療をすべきかどうかが明確なわけではない エビデンスはあいまいで、これがむしろ EBM あいまいであるがゆえに、共有、評価、反省を し、学習を続けることが重要
  67. 67. 私にとっての EBM の実践    目の前の患者の話をよく聞き、よく診察し (患者からのエビデンス=ナラティブ) その患者によく似た患者についての研究結 果をよく勉強し (外部のエビデンス) その二つの情報を統合し  目の前の患者に現時点での最善の医療を提供 すること
  68. 68. 何かの参考になれば
  69. 69. 緩和医療の教科書も  コンサルテーションスキルについて書きまし た
  70. 70. 参考までに  ステップアップ EBM 実践ワークブック   臨床研究の ABC   メディカルサイエンス社 臨床研究と論文作成のコツ : 読む・研究する・ 書く   南江堂 東京医学社 後悔したくないなら「医者のいいなり」はやめ なさい  日本文芸社
  71. 71. 質問があれば 何でも聞いてください
  • TakashiYOSHIDA8

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