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森・濱田松本法律事務所
パートナー弁護士 増 島 雅 和
優先株って何だ?
大規模資本の調達戦略
第4回アカデミア発スタートアップのためのリベラルアーツプログラム
December 2020
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増 島 雅 和(ますじま まさかず)
2001 弁護士登録
2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス)
2007 ニューヨーク州弁護士登録
2010 金融庁監督局保険課(銀行第一課兼務)
日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー
金融と知財の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“Startup Innovators”主宰(http://startupinnovators.jp/)
2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員
2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP:金融破綻処理法制担当)
日本ベンチャーキャピタル協会顧問、日本フィンテック協会顧問、日本ブロックチェーン協会顧問、暗号資産ビジネス協会アドバイザー
2016 内閣官房ベンチャー・チャレンジ2020 アドバイザリーボードメンバー
内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員
2017 経済産業省 研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査検討会 委員
森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
2018 内閣府 革新的事業活動評価委員会 委員
特許庁 知的財産国際権利化戦略推進事業有識者委員会 委員
2019 総務省 AIインクルージョン推進会議 委員
経済産業省 Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会 委員
内閣官房 デジタル市場競争会議WG委員
特許庁 オープンイノベーションを促進するための支援人材育成及び契約ガイドライン研究会 委員
内閣府 規制改革推進会議 専門委員
2020 内閣官房 ブロックチェーン官民推進会合 委員
内閣官房 Trusted Web協議会 委員
デジタル通貨研究会 委員
オンライン名刺交換用QRコード
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ビットコイン、イーサなどの仮想通貨、セキュリティトークン、
ステーブルコイン、CBDCなど、ブロックチェーンを用いた
トークンのルールのすべてが分かる!
好評発売中 3,600円(税抜)
激動の時代、パラダイムを変える日本のビジネス法を
武器とした新しいビジネスの戦い方を、
日本最大の法律事務所のトップパートナー陣が指南!
12月15日発売 1,800円(税抜)
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スタートアップ企業の特徴
ベンチャー企業は、中小企業や下請け企業とは異なり、スケーラブルなビジネスを急速に成長させることを目指す
「イノベーションに特化した事業組織」
時間 時間
 ベンチャー企業の特徴
 リニアな積み上げではなく、スケーラブルなビジネスモデルを描き、急速な成長を目指す
「崖から落ちている間に飛行機を組み立て、地面に激突する前に飛び立つ」(リード・ホフマン LinkedIn創業者)
 外部投資家(ベンチャーキャピタル等)からの投資を受けている。
VCファンドの満期は10年、設計上の想定は3-5年で投資回収(エグジット)
 ベンチャー企業の開発の対象はおおきく
①ビジネスモデルそのもの(事業開発型)、②新規技術(研究開発型)
ベンチャー企業の事業計画のイメージ 中小企業の事業計画のイメージ
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スタートアップ企業でない企業と比較したスタートアップ企業の特徴
スタートアップ企業の特徴
 スタートアップ企業(ベンチャー企業) 中小企業(下請け企業)
外部投資家(ベンチャーキャピタル等)からの投資を受けている
- 創業者は株主から急速な成長モデルを描くことが義務付けられている(高いIRRの実現)
- 創業者は株主からスケーラブルなビジネスモデルを描くことが義務付けられている(リニアな積上げは×)
- 創業者は株主に対してエグジットの道を提供することが義務付けられている(IPO又はM&A)
- 与えられた猶予は最長でも10年(実際にはもっと短い期間で投資家からエグジットのプレッシャをかけられる)
<主な特性>
 研究開発型ベンチャー企業
<主な特性>
複数分野に応用可能な革新的なテクノロジーを持っている
- リソース制約(資金・人材)からモノになりそうな分野にレーザーフォーカス
- 同一テクノロジーを複数分野に展開してスケールする事業計画を持っている
- コラボレーション(オープンイノベーション)を戦略の大前提に持っている
事業開発型ベンチャー企業
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スタートアップ企業の特徴
<Step1>
• 大企業は、要求水準が厳しく利幅
の高い主要顧客の需要を満たすこ
とに集中
• 他のセグメントには過剰水準となる
が、そのニーズは放置
<Step2>
• 新規参入企業は、放置されたニー
ズに対し、新たな技術を用いて大
幅に低価格でソリューションを提供
• 大企業は、儲からないニッチマー
ケットとして、これを放置
<Step3>
• 新規参入企業は、新技術をマーケットフィッ
トさせる形で習熟し、優位性を維持したまま
主要顧客のいるアップマーケットに乗り込
む
• 主要顧客が新規参入企業のプロダクトを認
めて雪崩を打つように購入
時間
プ
ロ
ダ
ク
ト
性
能
ハイエンド市場
主要市場
ローエンド市場
収益性:高
収益性:低
性能に対する顧客が考える
適正価格
Clayton M. Christensen(2016)
スタートアップ企業の勝ち方にはパターンがある
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スタートアップ企業の勝ち方
VC 銀行
ベンチャー企業は単独で生きるのではなく、多数のベンチャー企業とこれをとりまく関係者からなる
「エコシステム」の中で初めて存続できる
起業家
シード投資家
スタートアップ スケーラブル事業
アイディア/時間/労働
資金・アドバイス ビジネスモデル開発
Exit
起業家, 従業員
LP投資家
株式市場
既存企業
既存企業
戦略提携
創業者株式、優先株
投資、ストックオプ
ションetc
コンバーティブルノー
トファイナンス
コンバーティブルノエクイ
ティファイナンス
シードアクセラレータ
クラウドファンディング
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スタートアップ企業の勝ち方
スタートアップ企業の資本戦略の基本は「時価総額の最大化」
シード設立 アーリー グロース レイター 上場
3~5年
創業者普通株式(penny stock)
シード投資家(CB/CE) シード投資家(シリーズA優先株式)
VC投資家(シリーズA優先株式)
ストラテジック投資家(シリーズB優先株式)
VC投資家(シリーズC優先株式)
金融投資家(シリーズD優先株式)
従業員ストック・オプション
試作
事業開発
顧客開拓
スケール化
内部統制
企業の成長ステージごとに、将来の成長期待を武器に、成長に必要な「お金以外の何か」を持っている人から
お金を調達する
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創業者株式の実務
創業者株式につき正しいアレンジメントを施しておくことが、大規模調達を成功させるスタートアップ企業の
前提条件
 起業家は1人で創業するべきか?
 スタートアップはRPG
 長い旅路のなかで孤独を耐え抜けるか?
 技術、マーケティング、ファイナンスetc.と、成功確率を上げるためには様々なスキルを要求される
- 「創業者」が持っているスキルは、そのスタートアップの戦略的な強みとなる
 共同創業者のいるスタートアップの最大のリスクは、創業者の離脱
 スタートアップはロックバンド
 スタートアップにおける方向性の違い
- 事業戦略に対する考え方の違い
- 特に、目の前の黒字化か、スケーラビリティ確保のためにさらに赤字を掘るか
 事業とは無関係の事情で離脱が発生することも
- メンタルをやられた
- 家庭の事情(親子、夫婦、子ども)
誰もが離脱の可能性があるという前提のもとで
離脱が発生した場合の保有株式についてのルールを定めておく
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創業者株式の実務
優先株式を利用して創業者が大きなリターンを得られる仕組みを採用する以上は、
共同創業者のただ乗り防止策を講じておくことが必要
創業者A(CEO)
創業者B
(CTO)
創業者C
(CFO)
40,000株
30,000株
30,000株
100円/株 2,000円/株 8,000円/株 20,000円/株
Series A Series B Series C
創業者C離脱
30,000株?
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創業者株式の実務
創業者が途中で離脱した場合、在任期間に応じて株式を「返してもらう」創業者間覚書を締結
 4-5年の期間を設けて、途中で離脱した場合には発行会社/他の創業者が買い取る
- 1年内に離脱:全株式の売却
- 2年内に離脱:75%の売却
- 3年内に離脱:50%の売却
- 4年内に離脱:25%の売却
- 4年以上在籍:全株式の保有
 買取価格は、発行時の価額
- 離脱時の株価で買い取ると、キャピタルゲインが実現してしまい、離脱のインセンティブとなってしまう。
- 他方、発行時の価額で買い取ることによって税務上の問題が発生する可能性
創業者のいずれか(以下「離脱創業者」という。)がその理由の有無を問わず、本会社の役員、従業員、アドバイザーまたはコンサルタント(以下「役務等提供
者」という。)でなくなった場合(創業者の死亡もしくは就業不能、または辞任もしくは解雇による場合を含む。)、他の創業者(以下「残存創業者」という。)
は、本会社の役務等提供者であることを条件として、離脱創業者が本会社の役務等提供者でなくなったと残存創業者が認めた日(当日を含む。)から60日の
間(以下、当該期間の末日を「創業者による取得請求権の行使期限」という。)、離脱創業者が保有する本会社の株式(以下「離脱創業者株式」とい
う。)のうち本取得請求権の対象とならなくなった株式を除くもの(以下「取得対象株式」という。)の全部について、これを離脱創業者より1株あたり取得価額
で取得する権利(以下「本取得請求権」という。)を有する。なお、残存創業者のうち複数の者が本取得請求権を行使した場合には、離脱創業者が本会社
の役務等提供者でなくなったと残存創業者が認めた日におけるそれぞれの持株数に応じて按分して、各残存創業者が取得する取得対象株式の数を決定するも
のとする。
各創業者が以下のそれぞれの日までの間、継続して本会社の役務等提供者としての地位を保持している場合、当該日の経過をもって、以下に記載されるそれぞれの数
の各創業者が保有する本会社の株式につき、本取得請求権の対象とならなくなるものとする。なお、本取得請求権の対象とならなくなる各創業者の保有株式の数の算
出において、1株未満の端数は切り捨てるものとする。
本覚書の締結日から12ヶ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数
本覚書の締結日から24ヶ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数
本覚書の締結日から36ヶ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数
本覚書の締結日から48ヶ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数
本覚書の締結日から60ヵ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数
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優先株式の実務
優先株式は、創業者の持分比率を減らさずに多額の資金を調達するために不可欠な資金調達方法
2019年3月 創業
創業者A
創業者B
60,000株@100円
40,000株@100円
MVP作成
2020年1月 シリーズA
6,000株@10,000円
4,000株@10,000円
投資家X
投資家Y
時価総額 1,100,000,000円@10,000円
売上 0円 0円
優先株は、IPO前の事業売却に際し、投資家に対し、
• 売却価額から、予め定めた金額まで起業家に優先して投資回収できる権利
• 売却価額が高い場合には、普通株に転換して起業家と同条件で投資回収できる権利
を与える
IPO前の優先株は、常に普通株より企業価値に対する1株あたりの「分け前」が多い
普通株は、優先株より安い時価を設定する理論的根拠がある
優先株を使えば、起業家と従業員に安く株式(普通株)を割当て、投資家に高く株式(優先株)を発行することが可能
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優先株式の実務
残余財産分配の優先権とみなし清算条項が、優先株式の価値を支える
残余財産分配の優先権
みなし清算条項
会社が解散したときに、普通株主に先立って残余財産からの分配を受けることができる権利
会社を売却したときの売却対価を、会社を清算した時に分配される額と同額受け取ることができる権利
<残余財産分配の優先権のバリエーション>
1. 投資元本の何倍まで、優先的に受け取ることができるか?
例) 取得価額10,000円 残余財産分配の優先権2倍: 優先分配は20,000円/株 まで
2. 優先分配を受け取った後に、普通株式への配当に参加することができるか?
例) 参加権ありの場合、優先分配に加えて、普通株式の分配(分配総額1,000,000,000円)に優先株式も
参加することができる(普通株式9,000株 優先株式1,000株の場合、1株あたり100,000円)。
3. 優先株式1株あたり分配を受けることができる金額の上限はいくらか?
例) 上記の例で分配上限3倍の場合、優先株式として受け取ることができる金額は30,000円/株まで
普通株式に転換した場合により多くの額を受け取ることができる場合には、普通株式に転換して分配に与る
 優先株式は、ラウンドを重ねるごとに積み重なる(A種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式・・・)
 通常は、遅いラウンドほど優先する( D種→C種→B種→A種→普通)
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優先株式の実務
みなし清算条項の例
T社: 普通株式 10万株
A種優先株式 2万株 (@15,000円 優先分配1.5倍 参加上限2倍)
B種優先株式 3万株 (@30,000円 優先分配1倍 参加上限なし)
(1) A社に15億円で買収される場合
B種優先分配: 30,000 x 30,000 = 9億
A種優先分配: 15,000 x 20,000 x 1.5 = 4.5億
普通株式: [15億 - (9億 + 4.5億)] / 15万 = 1,000円/ 株
普通株主: 1,000 x 100,000 = 1億 +1億
A種株主: 4.5億 + 1,000 x 20,000 = 4.7億 (< 3億 x 2) +1.7億
B種株主: 9億 + 1,000 x 30,000 = 9.3億 +0.3億
(2) A社に150億円で買収される場合
B種優先分配: 9億
A種優先分配: 4.5億
普通株式: (150億 - 13.5億) / 15万 = 91,000円 / 株
A種: 4.5億 + 91,000 x 20,000 = 18.2億 (> 6億) ⇒ 普通株に転換
普通株式: (150億 - 9億) / 15万 = 94,000円 / 株
普通株主: 94億 +94億
旧A種株主:18.8億 +15.8億
B種株主: 37.2億 +28.2億
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シードファイナンスの実務
シリーズA調達を行う前に、MVPを作り上げるまで(又はPMF実現まで)の資金を調達する手段として、
コンバーティブルエクイティの実務が発達してきている
※ コンバーティブルエクイティ誕生秘話:https://www.businesslawyers.jp/articles/236
コンバーティブルエクイティ:Aラウンドの実施前に、「Aラウンドの資金調達が行われたときに、Aラウンドの株式と同じ内容の株式を、
Aラウンドの株式よりも割引価格で取得することができる権利」を売却することで、資金を調達する手法
<誕生の背景>
 シード期のスタートアップのバリュエーションは困難
- 「ひと声1億円、2000万円の調達で20%のダイリューション」
- バリュエーションを上げすぎてしまうことによる問題
 シード期はプロダクト開発に注力すべきで、資金調達にエネルギーを使うべきではない
<コンバーティブルエクイティで決めるべきこと>
 期間
- 予定するAラウンドの実施時期
- 18-24ヶ月で決めるのが標準
 転換条件を決める2つのマジックナンバー
- ディスカウント率:Aラウンドの株式単価の何割引きで株式を買えるか
- バリュエーション上限(キャップ):Aラウンドの投資家と合意した時価総額が高すぎる場合に、CE投資家との間であら
かじめ合意しておく時価総額の上限
 転換前に事業売却した場合に投資家に返金する額
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シードファイナンスの実務
シリーズA調達を行う前に、MVPを作り上げるまで(又はPMF実現まで)の資金を調達する手段として、
コンバーティブルエクイティの実務が発達してきている
次回増資時の株価
転換価格
転換価格 次回増資時の株価 転換価格
次回増資時の株価
次回増資時の株価
転換価格
概
要
ディスカウント
• 設定した割引率に応じて、次ラウンド時の株を割引
価格で買うことが出来る仕組み
• リスクを取って早いタイミングで出資した投資家に
報いる
• 企業価値の上限を設定する仕組み
• 投資先のバリュエーションが上がり、転換時に投資家の
持分比率が減少するのを防ぐため
キャップ
• 20%ディスカウントの場合、シリーズAの株価が
10万円であれば8万円で株が買える
例)投資金額1,000万円の場合125株
• 評価額上限(キャップ)÷ 発行済株式数で転換価格を算出
例)投資金額1,000万円、発行済株式1万株の場合
転換価額2万円、発行株数は500株
事
例
20%ディスカウント
(上限価格)
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シードファイナンスの実務
コンバーティブルエクイティを挟むことで、シリーズAに入る時期を遅らせることができ、その間に時価総額を
あげることができるので、エクイティを節約できる
2019年3月 創業
創業者A
創業者B
60,000株@100円
40,000株@100円
2021年1月 シリーズA
3,334株@18,000円
CE40,000,000円
投資家X
投資家Y
時価総額 1,800,000,000円
2019年5月 シード
2,778株@14,400円
創業者ダイリューション
シードなし:10%
シードあり:6.1%
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優先株式のその他の条件
スタートアップ企業へは複数の投資家が投資する共同投資(シンジケート)。
上場していなくてもマーケットがあり、標準的な条件で投資することで当事者の取引コストを下げている
優先配当条項
残余財産優先分配条項(Liquidation Preference)
普通株式への転換請求権(取得請求権) - 稀釈化防止条項
[償還請求権]
普通株式への強制転換権(取得条項)
取締役選任権
拒否権(Protective Provision)
情報請求権(オブザーバー権、報告義務、立入検査等)
エグジットに関する誓約(上場努力義務、マーケットスタンドオフ等)
新株引受権
先買権(Right of First Refusal)
共同売却権(Co-Sale Right)
強制売却権(Drag Along Right)
[買戻請求権]
キーマン条項(職務専念義務、競業避止義務等)
定款記載事項
株主間契約
記載事項
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おまけ(大企業とのコラボレーション)
スタートアップ企業が持っていないリソースを持っている人に利用させてもらう枠組みが「オープンイノベーション」
<大企業が持っていないもの>
 イノベーションのシーズはスタートアップが持っている (=伝統的企業は持っていない)
 技術的・人的なレガシーがないため、「今の技術動向のもと最善」のソリューションを
構築できる
 イノベーション成功のオッズはスタートアップが高い (=伝統的企業では失敗する可
能性が高い)
 スタートアップは資金の都合から比較的早くに結果を出せる領域を攻める
 イノベーションがものになるためには、可能な限り多くの試行錯誤を早く行って、プロ
ダクトとマーケットフィートを探さないといけない
 レピュテーションの積み上げがないため失敗コストが安く、小規模組織で体制未整
備故にオペレーションコストが低いスタートアップが、小規模組織を活かした迅速な
経営判断で急速にPDCAを回すことでイノベーションの成功にたどり着く
 スタートアップが持つものを伝統的企業は持ち得ない
 強烈なリーダーシップ、迅速な意思決定が可能な小規模組織、低コストな労務費
用
 損益分岐点が低いため、大した市場でなくてもプロダクトを出せる
<スタートアップが持っていないもの>
 自社リソースが圧倒的に足りない
資金
顧客(ビジネスモデル)
人材
「ないこと」がイノベーション実現にとっての構造
的な強みになっている
- ベンチャー企業の本質は資源制約にあり
<大企業のニーズ>
・ イノベーションへのアクセス
・ ディスラプションへの抵抗力
・ 場合によってはイノベーションの取込み
<スタートアップのニーズ>
・ 開発・運転資金
・ 顧客(ビジネス)
・ 場合によってはエグジット先候補
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おまけ(スタートアップの法務戦略)
法律はテクノロジーや環境のように物理法則に従うものではなく、変幻自在に動くものであることを理解する
 ルールは変化する。何が明日のルールか分からない中で、あるべき明日のルールを創る活動をコンプライアンスと位置付ける。
(例)YouTube、Google ・・・著作権 Facebook ・・・ プライバシー
 社会が変動するなかで、「利用者にとって望ましい方向に規範を変更すること」が社会に期待されている事業主体がいる。
⇒ スタートアップ企業
 固定的なレピュテーションを獲得していない
 テクノロジーと民主化をレバレッジして急激に成長することを想定
多くのユーザーのプロダクト支持をユーザーの「民意」ととらえて制度を動かす戦略を採用
 そのために必要な活動が、イノベーション法務でありスタートアップのコンプライアンス
(活動例)サンドボックス、高速PDCA、非営利団体設立、ロビイング、提言
 エンフォーサビリティにフォーカスしたコンプライアンス
 エンフォースメントの可能性をリーガルリスクと見て、これを動的に管理
(例)レギュラトリーリスク
 ルールが想定していないものについての適法性の判断枠組みとして「パーミッションレス」戦略を採用
- ルールが想定していないものについての適法性につき、所管官庁にあらかじめ聞くべきという規範はあるか?
⇒ NO
<伝統的産業の世界から見た法律>
 法律は外から与えられた制約。制約を守りつつ、制約の中で戦うことが社会から求められている(コンプライアンス)
<イノベーションの世界から見た法律>
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おまけ(スタートアップの法務戦略)
社会変革期には、変革に対応した実ビジネスの展開によるユーザーの支持を得ることで、民主的にルールを変更し、法律の方
をビジネス(民意)に追いつかせるためのコンプライアンス戦略が必要になる
テクノロジー
その他の取り巻く環境
法律・実務
ビジネス
法律・実務の正当性を支
える事実(立法事実)
ビジネスの正当性を支えるコ
ンプライアンス(説明責任)
テクノロジー
その他の取り巻く環境
法律・実務
ビジネス
① 技術革新
②アダプション
民主主義
③ ルール変更
④ 適正化
<イノベーション法務の特徴>
 顧客の獲得=民意による支持⇒ルールの変更という図式
 テクノロジーその他ビジネスを取り巻く環境の変化に適合したビジネスモデルを開発し、自社行動に対する社会の期待をコント
ロールしながら、自社ビジネスを阻害しない(可能であれば自社モデルが優位になるような)ルールを形成するための戦略的
な活動をコンプライアンスと位置付ける
 上記活動を支えるための戦略的法務投資を伴う
Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 22‐
おまけ(スタートアップの法務戦略)
規制のサンドボックス制度は、急激な技術の進展による負の側面をコントロールしつつ、イノベーションを推進する
ための方法
 「サンドボックス」は、主としてサードパーティが開発した、テストされていないソフトウェアの導入にあたって、ホストコ
ンピュータやOSを侵害してネットワーク全体が破壊されることを防止するためのセキュリティ方策が源流
 制御された環境下で、実験対象となるソフトウェアを起動して、その性能や問題の有無等を確認
 ホストコンピュータやネットワークとの接続は行わないか、厳格に制限された状態のもとで実施
サンドボックスなし サンドボックスあり
システム
ストレージ
実験
対象
アプリ
アプリ
アプリ
読込み
書き出し
<実装例>
アプリ
アプリ
アプリ
読込み
書き出し
実験
対象
システム
ストレージ
読込み
一時的な
ストレージ
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規制当局
スタートアップ 伝統的企業
• 「イノベーションを進めたい」(新規ビジネスの創出)
• リソース(顧客基盤、トラックレコード)はある
• イノベーションのシーズがないのでスタートアップと組んで進めたい
• リスク、特にコンプライアンスリスクは取れない(現場の担当者の首
が飛ぶ)
⇒ コンプライアンスリスクは当局に押し付けたい
• 「イノベーションを進めたい」(国家戦略の実現)
• 総論で上からイノベーションを進めろとは言われるものの、問題が起
こったら責任を問われる
• 利用者保護・消費者保護をミッションとしている
• 法律の専門家ではなく、そもそも法が想定していない以上はやってよ
いかどうかなど法律を読んでも分からない
⇒ 民間でリスクを取って勝手にやってくれと思っている
⇒ 聞かれれば「適法ではない可能性がある」と回答するのが最適
戦略
革新的事業活動
評価委員会
・ イノベーションの推進をミッションに掲げる
・ 民間の有識者を中心に構成
・ 「Try Everything!」
⇒ 本当に機能するのか?
⇒ 実験だけで終わりにならないか?
コンプラ部門
現業部門
• 「イノベーションを進めたい」(事業モデルの確立)
• イノベーションのシーズはある
• リソース(顧客基盤、トラックレコード)がないので伝統的企業と組んで進めた
い
• 早くやらないと資金が枯渇するので、多少の不確実性には目をつぶっても案件を
前に進めたい
⇒ コンプライアンスリスクは取れる
規制のサンドボックス制度は、「総論は共通認識があるにもかかわらず、各論で誰も責任をとりたがらない」
を打破する仕組み
X
X
おまけ(スタートアップの法務戦略)
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質疑
弁護士 増 島 雅 和
森・濱田松本法律事務所
tel. 03.5220.1812
email. masakazu.masujima@mhmjapan.com
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東北大学講義 優先株って何だ?

  • 1. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 0‐ ©2013 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved©2020 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 増 島 雅 和 優先株って何だ? 大規模資本の調達戦略 第4回アカデミア発スタートアップのためのリベラルアーツプログラム December 2020
  • 2. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 1‐ 増 島 雅 和(ますじま まさかず) 2001 弁護士登録 2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス) 2007 ニューヨーク州弁護士登録 2010 金融庁監督局保険課(銀行第一課兼務) 日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー 金融と知財の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“Startup Innovators”主宰(http://startupinnovators.jp/) 2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員 2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP:金融破綻処理法制担当) 日本ベンチャーキャピタル協会顧問、日本フィンテック協会顧問、日本ブロックチェーン協会顧問、暗号資産ビジネス協会アドバイザー 2016 内閣官房ベンチャー・チャレンジ2020 アドバイザリーボードメンバー 内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員 2017 経済産業省 研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査検討会 委員 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 2018 内閣府 革新的事業活動評価委員会 委員 特許庁 知的財産国際権利化戦略推進事業有識者委員会 委員 2019 総務省 AIインクルージョン推進会議 委員 経済産業省 Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会 委員 内閣官房 デジタル市場競争会議WG委員 特許庁 オープンイノベーションを促進するための支援人材育成及び契約ガイドライン研究会 委員 内閣府 規制改革推進会議 専門委員 2020 内閣官房 ブロックチェーン官民推進会合 委員 内閣官房 Trusted Web協議会 委員 デジタル通貨研究会 委員 オンライン名刺交換用QRコード
  • 3. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 2‐ 2
  • 4. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 3‐ 3 ビットコイン、イーサなどの仮想通貨、セキュリティトークン、 ステーブルコイン、CBDCなど、ブロックチェーンを用いた トークンのルールのすべてが分かる! 好評発売中 3,600円(税抜) 激動の時代、パラダイムを変える日本のビジネス法を 武器とした新しいビジネスの戦い方を、 日本最大の法律事務所のトップパートナー陣が指南! 12月15日発売 1,800円(税抜)
  • 5. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 4‐ スタートアップ企業の特徴 ベンチャー企業は、中小企業や下請け企業とは異なり、スケーラブルなビジネスを急速に成長させることを目指す 「イノベーションに特化した事業組織」 時間 時間  ベンチャー企業の特徴  リニアな積み上げではなく、スケーラブルなビジネスモデルを描き、急速な成長を目指す 「崖から落ちている間に飛行機を組み立て、地面に激突する前に飛び立つ」(リード・ホフマン LinkedIn創業者)  外部投資家(ベンチャーキャピタル等)からの投資を受けている。 VCファンドの満期は10年、設計上の想定は3-5年で投資回収(エグジット)  ベンチャー企業の開発の対象はおおきく ①ビジネスモデルそのもの(事業開発型)、②新規技術(研究開発型) ベンチャー企業の事業計画のイメージ 中小企業の事業計画のイメージ
  • 6. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 5‐ スタートアップ企業でない企業と比較したスタートアップ企業の特徴 スタートアップ企業の特徴  スタートアップ企業(ベンチャー企業) 中小企業(下請け企業) 外部投資家(ベンチャーキャピタル等)からの投資を受けている - 創業者は株主から急速な成長モデルを描くことが義務付けられている(高いIRRの実現) - 創業者は株主からスケーラブルなビジネスモデルを描くことが義務付けられている(リニアな積上げは×) - 創業者は株主に対してエグジットの道を提供することが義務付けられている(IPO又はM&A) - 与えられた猶予は最長でも10年(実際にはもっと短い期間で投資家からエグジットのプレッシャをかけられる) <主な特性>  研究開発型ベンチャー企業 <主な特性> 複数分野に応用可能な革新的なテクノロジーを持っている - リソース制約(資金・人材)からモノになりそうな分野にレーザーフォーカス - 同一テクノロジーを複数分野に展開してスケールする事業計画を持っている - コラボレーション(オープンイノベーション)を戦略の大前提に持っている 事業開発型ベンチャー企業
  • 7. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 6‐ スタートアップ企業の特徴 <Step1> • 大企業は、要求水準が厳しく利幅 の高い主要顧客の需要を満たすこ とに集中 • 他のセグメントには過剰水準となる が、そのニーズは放置 <Step2> • 新規参入企業は、放置されたニー ズに対し、新たな技術を用いて大 幅に低価格でソリューションを提供 • 大企業は、儲からないニッチマー ケットとして、これを放置 <Step3> • 新規参入企業は、新技術をマーケットフィッ トさせる形で習熟し、優位性を維持したまま 主要顧客のいるアップマーケットに乗り込 む • 主要顧客が新規参入企業のプロダクトを認 めて雪崩を打つように購入 時間 プ ロ ダ ク ト 性 能 ハイエンド市場 主要市場 ローエンド市場 収益性:高 収益性:低 性能に対する顧客が考える 適正価格 Clayton M. Christensen(2016) スタートアップ企業の勝ち方にはパターンがある
  • 8. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 7‐ スタートアップ企業の勝ち方 VC 銀行 ベンチャー企業は単独で生きるのではなく、多数のベンチャー企業とこれをとりまく関係者からなる 「エコシステム」の中で初めて存続できる 起業家 シード投資家 スタートアップ スケーラブル事業 アイディア/時間/労働 資金・アドバイス ビジネスモデル開発 Exit 起業家, 従業員 LP投資家 株式市場 既存企業 既存企業 戦略提携 創業者株式、優先株 投資、ストックオプ ションetc コンバーティブルノー トファイナンス コンバーティブルノエクイ ティファイナンス シードアクセラレータ クラウドファンディング
  • 9. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 8‐ スタートアップ企業の勝ち方 スタートアップ企業の資本戦略の基本は「時価総額の最大化」 シード設立 アーリー グロース レイター 上場 3~5年 創業者普通株式(penny stock) シード投資家(CB/CE) シード投資家(シリーズA優先株式) VC投資家(シリーズA優先株式) ストラテジック投資家(シリーズB優先株式) VC投資家(シリーズC優先株式) 金融投資家(シリーズD優先株式) 従業員ストック・オプション 試作 事業開発 顧客開拓 スケール化 内部統制 企業の成長ステージごとに、将来の成長期待を武器に、成長に必要な「お金以外の何か」を持っている人から お金を調達する
  • 10. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 9‐ 創業者株式の実務 創業者株式につき正しいアレンジメントを施しておくことが、大規模調達を成功させるスタートアップ企業の 前提条件  起業家は1人で創業するべきか?  スタートアップはRPG  長い旅路のなかで孤独を耐え抜けるか?  技術、マーケティング、ファイナンスetc.と、成功確率を上げるためには様々なスキルを要求される - 「創業者」が持っているスキルは、そのスタートアップの戦略的な強みとなる  共同創業者のいるスタートアップの最大のリスクは、創業者の離脱  スタートアップはロックバンド  スタートアップにおける方向性の違い - 事業戦略に対する考え方の違い - 特に、目の前の黒字化か、スケーラビリティ確保のためにさらに赤字を掘るか  事業とは無関係の事情で離脱が発生することも - メンタルをやられた - 家庭の事情(親子、夫婦、子ども) 誰もが離脱の可能性があるという前提のもとで 離脱が発生した場合の保有株式についてのルールを定めておく
  • 11. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 10‐ 創業者株式の実務 優先株式を利用して創業者が大きなリターンを得られる仕組みを採用する以上は、 共同創業者のただ乗り防止策を講じておくことが必要 創業者A(CEO) 創業者B (CTO) 創業者C (CFO) 40,000株 30,000株 30,000株 100円/株 2,000円/株 8,000円/株 20,000円/株 Series A Series B Series C 創業者C離脱 30,000株?
  • 12. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 11‐ 創業者株式の実務 創業者が途中で離脱した場合、在任期間に応じて株式を「返してもらう」創業者間覚書を締結  4-5年の期間を設けて、途中で離脱した場合には発行会社/他の創業者が買い取る - 1年内に離脱:全株式の売却 - 2年内に離脱:75%の売却 - 3年内に離脱:50%の売却 - 4年内に離脱:25%の売却 - 4年以上在籍:全株式の保有  買取価格は、発行時の価額 - 離脱時の株価で買い取ると、キャピタルゲインが実現してしまい、離脱のインセンティブとなってしまう。 - 他方、発行時の価額で買い取ることによって税務上の問題が発生する可能性 創業者のいずれか(以下「離脱創業者」という。)がその理由の有無を問わず、本会社の役員、従業員、アドバイザーまたはコンサルタント(以下「役務等提供 者」という。)でなくなった場合(創業者の死亡もしくは就業不能、または辞任もしくは解雇による場合を含む。)、他の創業者(以下「残存創業者」という。) は、本会社の役務等提供者であることを条件として、離脱創業者が本会社の役務等提供者でなくなったと残存創業者が認めた日(当日を含む。)から60日の 間(以下、当該期間の末日を「創業者による取得請求権の行使期限」という。)、離脱創業者が保有する本会社の株式(以下「離脱創業者株式」とい う。)のうち本取得請求権の対象とならなくなった株式を除くもの(以下「取得対象株式」という。)の全部について、これを離脱創業者より1株あたり取得価額 で取得する権利(以下「本取得請求権」という。)を有する。なお、残存創業者のうち複数の者が本取得請求権を行使した場合には、離脱創業者が本会社 の役務等提供者でなくなったと残存創業者が認めた日におけるそれぞれの持株数に応じて按分して、各残存創業者が取得する取得対象株式の数を決定するも のとする。 各創業者が以下のそれぞれの日までの間、継続して本会社の役務等提供者としての地位を保持している場合、当該日の経過をもって、以下に記載されるそれぞれの数 の各創業者が保有する本会社の株式につき、本取得請求権の対象とならなくなるものとする。なお、本取得請求権の対象とならなくなる各創業者の保有株式の数の算 出において、1株未満の端数は切り捨てるものとする。 本覚書の締結日から12ヶ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数 本覚書の締結日から24ヶ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数 本覚書の締結日から36ヶ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数 本覚書の締結日から48ヶ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数 本覚書の締結日から60ヵ月後の日 : 各創業者の創業者一覧に定める保有株式数の20%に相当する数
  • 13. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 12‐ 優先株式の実務 優先株式は、創業者の持分比率を減らさずに多額の資金を調達するために不可欠な資金調達方法 2019年3月 創業 創業者A 創業者B 60,000株@100円 40,000株@100円 MVP作成 2020年1月 シリーズA 6,000株@10,000円 4,000株@10,000円 投資家X 投資家Y 時価総額 1,100,000,000円@10,000円 売上 0円 0円 優先株は、IPO前の事業売却に際し、投資家に対し、 • 売却価額から、予め定めた金額まで起業家に優先して投資回収できる権利 • 売却価額が高い場合には、普通株に転換して起業家と同条件で投資回収できる権利 を与える IPO前の優先株は、常に普通株より企業価値に対する1株あたりの「分け前」が多い 普通株は、優先株より安い時価を設定する理論的根拠がある 優先株を使えば、起業家と従業員に安く株式(普通株)を割当て、投資家に高く株式(優先株)を発行することが可能
  • 14. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 13‐ 優先株式の実務 残余財産分配の優先権とみなし清算条項が、優先株式の価値を支える 残余財産分配の優先権 みなし清算条項 会社が解散したときに、普通株主に先立って残余財産からの分配を受けることができる権利 会社を売却したときの売却対価を、会社を清算した時に分配される額と同額受け取ることができる権利 <残余財産分配の優先権のバリエーション> 1. 投資元本の何倍まで、優先的に受け取ることができるか? 例) 取得価額10,000円 残余財産分配の優先権2倍: 優先分配は20,000円/株 まで 2. 優先分配を受け取った後に、普通株式への配当に参加することができるか? 例) 参加権ありの場合、優先分配に加えて、普通株式の分配(分配総額1,000,000,000円)に優先株式も 参加することができる(普通株式9,000株 優先株式1,000株の場合、1株あたり100,000円)。 3. 優先株式1株あたり分配を受けることができる金額の上限はいくらか? 例) 上記の例で分配上限3倍の場合、優先株式として受け取ることができる金額は30,000円/株まで 普通株式に転換した場合により多くの額を受け取ることができる場合には、普通株式に転換して分配に与る  優先株式は、ラウンドを重ねるごとに積み重なる(A種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式・・・)  通常は、遅いラウンドほど優先する( D種→C種→B種→A種→普通)
  • 15. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 14‐ 優先株式の実務 みなし清算条項の例 T社: 普通株式 10万株 A種優先株式 2万株 (@15,000円 優先分配1.5倍 参加上限2倍) B種優先株式 3万株 (@30,000円 優先分配1倍 参加上限なし) (1) A社に15億円で買収される場合 B種優先分配: 30,000 x 30,000 = 9億 A種優先分配: 15,000 x 20,000 x 1.5 = 4.5億 普通株式: [15億 - (9億 + 4.5億)] / 15万 = 1,000円/ 株 普通株主: 1,000 x 100,000 = 1億 +1億 A種株主: 4.5億 + 1,000 x 20,000 = 4.7億 (< 3億 x 2) +1.7億 B種株主: 9億 + 1,000 x 30,000 = 9.3億 +0.3億 (2) A社に150億円で買収される場合 B種優先分配: 9億 A種優先分配: 4.5億 普通株式: (150億 - 13.5億) / 15万 = 91,000円 / 株 A種: 4.5億 + 91,000 x 20,000 = 18.2億 (> 6億) ⇒ 普通株に転換 普通株式: (150億 - 9億) / 15万 = 94,000円 / 株 普通株主: 94億 +94億 旧A種株主:18.8億 +15.8億 B種株主: 37.2億 +28.2億
  • 16. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 15‐ シードファイナンスの実務 シリーズA調達を行う前に、MVPを作り上げるまで(又はPMF実現まで)の資金を調達する手段として、 コンバーティブルエクイティの実務が発達してきている ※ コンバーティブルエクイティ誕生秘話:https://www.businesslawyers.jp/articles/236 コンバーティブルエクイティ:Aラウンドの実施前に、「Aラウンドの資金調達が行われたときに、Aラウンドの株式と同じ内容の株式を、 Aラウンドの株式よりも割引価格で取得することができる権利」を売却することで、資金を調達する手法 <誕生の背景>  シード期のスタートアップのバリュエーションは困難 - 「ひと声1億円、2000万円の調達で20%のダイリューション」 - バリュエーションを上げすぎてしまうことによる問題  シード期はプロダクト開発に注力すべきで、資金調達にエネルギーを使うべきではない <コンバーティブルエクイティで決めるべきこと>  期間 - 予定するAラウンドの実施時期 - 18-24ヶ月で決めるのが標準  転換条件を決める2つのマジックナンバー - ディスカウント率:Aラウンドの株式単価の何割引きで株式を買えるか - バリュエーション上限(キャップ):Aラウンドの投資家と合意した時価総額が高すぎる場合に、CE投資家との間であら かじめ合意しておく時価総額の上限  転換前に事業売却した場合に投資家に返金する額
  • 17. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 16‐ シードファイナンスの実務 シリーズA調達を行う前に、MVPを作り上げるまで(又はPMF実現まで)の資金を調達する手段として、 コンバーティブルエクイティの実務が発達してきている 次回増資時の株価 転換価格 転換価格 次回増資時の株価 転換価格 次回増資時の株価 次回増資時の株価 転換価格 概 要 ディスカウント • 設定した割引率に応じて、次ラウンド時の株を割引 価格で買うことが出来る仕組み • リスクを取って早いタイミングで出資した投資家に 報いる • 企業価値の上限を設定する仕組み • 投資先のバリュエーションが上がり、転換時に投資家の 持分比率が減少するのを防ぐため キャップ • 20%ディスカウントの場合、シリーズAの株価が 10万円であれば8万円で株が買える 例)投資金額1,000万円の場合125株 • 評価額上限(キャップ)÷ 発行済株式数で転換価格を算出 例)投資金額1,000万円、発行済株式1万株の場合 転換価額2万円、発行株数は500株 事 例 20%ディスカウント (上限価格)
  • 18. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 17‐ シードファイナンスの実務 コンバーティブルエクイティを挟むことで、シリーズAに入る時期を遅らせることができ、その間に時価総額を あげることができるので、エクイティを節約できる 2019年3月 創業 創業者A 創業者B 60,000株@100円 40,000株@100円 2021年1月 シリーズA 3,334株@18,000円 CE40,000,000円 投資家X 投資家Y 時価総額 1,800,000,000円 2019年5月 シード 2,778株@14,400円 創業者ダイリューション シードなし:10% シードあり:6.1%
  • 19. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 18‐ 優先株式のその他の条件 スタートアップ企業へは複数の投資家が投資する共同投資(シンジケート)。 上場していなくてもマーケットがあり、標準的な条件で投資することで当事者の取引コストを下げている 優先配当条項 残余財産優先分配条項(Liquidation Preference) 普通株式への転換請求権(取得請求権) - 稀釈化防止条項 [償還請求権] 普通株式への強制転換権(取得条項) 取締役選任権 拒否権(Protective Provision) 情報請求権(オブザーバー権、報告義務、立入検査等) エグジットに関する誓約(上場努力義務、マーケットスタンドオフ等) 新株引受権 先買権(Right of First Refusal) 共同売却権(Co-Sale Right) 強制売却権(Drag Along Right) [買戻請求権] キーマン条項(職務専念義務、競業避止義務等) 定款記載事項 株主間契約 記載事項
  • 20. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 19‐ おまけ(大企業とのコラボレーション) スタートアップ企業が持っていないリソースを持っている人に利用させてもらう枠組みが「オープンイノベーション」 <大企業が持っていないもの>  イノベーションのシーズはスタートアップが持っている (=伝統的企業は持っていない)  技術的・人的なレガシーがないため、「今の技術動向のもと最善」のソリューションを 構築できる  イノベーション成功のオッズはスタートアップが高い (=伝統的企業では失敗する可 能性が高い)  スタートアップは資金の都合から比較的早くに結果を出せる領域を攻める  イノベーションがものになるためには、可能な限り多くの試行錯誤を早く行って、プロ ダクトとマーケットフィートを探さないといけない  レピュテーションの積み上げがないため失敗コストが安く、小規模組織で体制未整 備故にオペレーションコストが低いスタートアップが、小規模組織を活かした迅速な 経営判断で急速にPDCAを回すことでイノベーションの成功にたどり着く  スタートアップが持つものを伝統的企業は持ち得ない  強烈なリーダーシップ、迅速な意思決定が可能な小規模組織、低コストな労務費 用  損益分岐点が低いため、大した市場でなくてもプロダクトを出せる <スタートアップが持っていないもの>  自社リソースが圧倒的に足りない 資金 顧客(ビジネスモデル) 人材 「ないこと」がイノベーション実現にとっての構造 的な強みになっている - ベンチャー企業の本質は資源制約にあり <大企業のニーズ> ・ イノベーションへのアクセス ・ ディスラプションへの抵抗力 ・ 場合によってはイノベーションの取込み <スタートアップのニーズ> ・ 開発・運転資金 ・ 顧客(ビジネス) ・ 場合によってはエグジット先候補
  • 21. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 20‐ おまけ(スタートアップの法務戦略) 法律はテクノロジーや環境のように物理法則に従うものではなく、変幻自在に動くものであることを理解する  ルールは変化する。何が明日のルールか分からない中で、あるべき明日のルールを創る活動をコンプライアンスと位置付ける。 (例)YouTube、Google ・・・著作権 Facebook ・・・ プライバシー  社会が変動するなかで、「利用者にとって望ましい方向に規範を変更すること」が社会に期待されている事業主体がいる。 ⇒ スタートアップ企業  固定的なレピュテーションを獲得していない  テクノロジーと民主化をレバレッジして急激に成長することを想定 多くのユーザーのプロダクト支持をユーザーの「民意」ととらえて制度を動かす戦略を採用  そのために必要な活動が、イノベーション法務でありスタートアップのコンプライアンス (活動例)サンドボックス、高速PDCA、非営利団体設立、ロビイング、提言  エンフォーサビリティにフォーカスしたコンプライアンス  エンフォースメントの可能性をリーガルリスクと見て、これを動的に管理 (例)レギュラトリーリスク  ルールが想定していないものについての適法性の判断枠組みとして「パーミッションレス」戦略を採用 - ルールが想定していないものについての適法性につき、所管官庁にあらかじめ聞くべきという規範はあるか? ⇒ NO <伝統的産業の世界から見た法律>  法律は外から与えられた制約。制約を守りつつ、制約の中で戦うことが社会から求められている(コンプライアンス) <イノベーションの世界から見た法律>
  • 22. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 21‐ おまけ(スタートアップの法務戦略) 社会変革期には、変革に対応した実ビジネスの展開によるユーザーの支持を得ることで、民主的にルールを変更し、法律の方 をビジネス(民意)に追いつかせるためのコンプライアンス戦略が必要になる テクノロジー その他の取り巻く環境 法律・実務 ビジネス 法律・実務の正当性を支 える事実(立法事実) ビジネスの正当性を支えるコ ンプライアンス(説明責任) テクノロジー その他の取り巻く環境 法律・実務 ビジネス ① 技術革新 ②アダプション 民主主義 ③ ルール変更 ④ 適正化 <イノベーション法務の特徴>  顧客の獲得=民意による支持⇒ルールの変更という図式  テクノロジーその他ビジネスを取り巻く環境の変化に適合したビジネスモデルを開発し、自社行動に対する社会の期待をコント ロールしながら、自社ビジネスを阻害しない(可能であれば自社モデルが優位になるような)ルールを形成するための戦略的 な活動をコンプライアンスと位置付ける  上記活動を支えるための戦略的法務投資を伴う
  • 23. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 22‐ おまけ(スタートアップの法務戦略) 規制のサンドボックス制度は、急激な技術の進展による負の側面をコントロールしつつ、イノベーションを推進する ための方法  「サンドボックス」は、主としてサードパーティが開発した、テストされていないソフトウェアの導入にあたって、ホストコ ンピュータやOSを侵害してネットワーク全体が破壊されることを防止するためのセキュリティ方策が源流  制御された環境下で、実験対象となるソフトウェアを起動して、その性能や問題の有無等を確認  ホストコンピュータやネットワークとの接続は行わないか、厳格に制限された状態のもとで実施 サンドボックスなし サンドボックスあり システム ストレージ 実験 対象 アプリ アプリ アプリ 読込み 書き出し <実装例> アプリ アプリ アプリ 読込み 書き出し 実験 対象 システム ストレージ 読込み 一時的な ストレージ
  • 24. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 23‐ 規制当局 スタートアップ 伝統的企業 • 「イノベーションを進めたい」(新規ビジネスの創出) • リソース(顧客基盤、トラックレコード)はある • イノベーションのシーズがないのでスタートアップと組んで進めたい • リスク、特にコンプライアンスリスクは取れない(現場の担当者の首 が飛ぶ) ⇒ コンプライアンスリスクは当局に押し付けたい • 「イノベーションを進めたい」(国家戦略の実現) • 総論で上からイノベーションを進めろとは言われるものの、問題が起 こったら責任を問われる • 利用者保護・消費者保護をミッションとしている • 法律の専門家ではなく、そもそも法が想定していない以上はやってよ いかどうかなど法律を読んでも分からない ⇒ 民間でリスクを取って勝手にやってくれと思っている ⇒ 聞かれれば「適法ではない可能性がある」と回答するのが最適 戦略 革新的事業活動 評価委員会 ・ イノベーションの推進をミッションに掲げる ・ 民間の有識者を中心に構成 ・ 「Try Everything!」 ⇒ 本当に機能するのか? ⇒ 実験だけで終わりにならないか? コンプラ部門 現業部門 • 「イノベーションを進めたい」(事業モデルの確立) • イノベーションのシーズはある • リソース(顧客基盤、トラックレコード)がないので伝統的企業と組んで進めた い • 早くやらないと資金が枯渇するので、多少の不確実性には目をつぶっても案件を 前に進めたい ⇒ コンプライアンスリスクは取れる 規制のサンドボックス制度は、「総論は共通認識があるにもかかわらず、各論で誰も責任をとりたがらない」 を打破する仕組み X X おまけ(スタートアップの法務戦略)
  • 25. Copyright © 2020 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 24‐ 質疑 弁護士 増 島 雅 和 森・濱田松本法律事務所 tel. 03.5220.1812 email. masakazu.masujima@mhmjapan.com オンライン名刺交換用QRコード