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1
医療ビッグデータ活用最前線
〜人工知能からセンサデータまで〜
本日お話しすること
2
医療ビッグデータ
取材報告
「ビジュアライズ」の
時代
医療ビッグデータ
今後の発展は?
医療ビッグデータ
取材報告
3
医療ビッグデータとは①
これまでと何が違うの?
全量性(悉皆性)
例)DPCデータ・レセプトデータ
非構造化データ
例)センサー・看護師行動
分析手法の高度化
例)機械学習・自然言語分析
「サイズ」は本質的な特徴ではない
4
医療ビッグデータとは②
仮説 デザイン
サンプルデータ
収集
従来の医学研究
全量データ
非構造化データ
分析
仮説生成
「医療ビッグデータ」
機械学習など
従来の「医学研究」とアプローチが異なる
5
医療ビッグデータとは
具体事例を紹介
非構造化データ
例)センサー・看護師行動
分析手法の高度化
例)機械学習・自然言語分析
具体的事例
センサーデータ常時監視による
感染症発症予測
ナースコールデータを利用した
看護師配置の最適化
患者行動のデータ化による
ぜんそく対策
人工知能による
仮説提唱
6
センサーデータ常時監視による
感染症発症予測
センサーデータ常時監視による発症予測
▼オンタリオ工科大学・IBM Artemisプロジェクト
NICUでセンサデータ(血圧・心拍・呼吸数など)をミリ秒単位で解析
低出生体重児に起きる感染症を従来より24時間程度早く予測
新生児の在胎週数・出生後日数と
血圧やSpO2などの相関関係を
示した平均データを基準モデルとして登録
NICUの新生児のセンサーデータと比較して
基準との乖離度合いから罹患リスクを算出
7 http://www-06.ibm.com/innovation/jp/technologies/bigdata2/medical_front.shtmlより
8 MARION BLOUNT et al.
IEEE ENGINEERING IN MEDICINE AND BIOLOGY MAGAZINE MARCH/APRIL 2010
センサーデータ常時監視による発症予測
9
青 異常値なし
水 異常値1
黄 異常値2
ピンク 異常値3
赤 異常値4
心拍・SpO2・呼吸・血圧
非構造データを可視化
医療判断の補助に
Carolyn McGregor et al.
Real-time Multidimensional Temporal Analysis of Complex High Volume Physiological Data Streams in the Neonatal Intensive Care Unit
センサーデータ常時監視による発症予測
センサーデータ常時監視による
感染症発症予測
ナースコールデータを利用した
看護師配置の最適化
患者行動のデータ化による
ぜんそく対策
人工知能による
仮説提唱
10
具体的事例
11
それだけでは
単なる「通信機」
ナースコール
どこで?
病床配置データ
何のために?
看護記録データ
時間データ
いつ?
だれが?
電子カルテデータ
すでに存在するデータを重ね合わせる
12
これまで捕捉不能だった患者行動をデータ化
▼業務改善(看護師配置・シフトの適正化)
▼サービス向上(コール反応速度の向上・病室配置の適正化)
▼政策提言(看護必要度の根拠)
センサーデータ常時監視による
感染症発症予測
ナースコールデータを利用した
看護師配置の最適化
患者行動のデータ化による
ぜんそく対策
人工知能による
仮説提唱
13
具体的事例
Louisville Asthma Data Innovation Project
吸入器を使用すると
スマートフォン経由で
位置情報など送信
診察室外の「患者行動」の
データ化が可能に
16
マッピングすることで
「仮説」の生成が可能に
個別患者の症状改善
& 社会環境全体の改善
Louisville Asthma Data Innovation Project
センサーデータ常時監視による
感染症発症予測
ナースコールデータを利用した
看護師配置の最適化
患者行動のデータ化による
ぜんそく対策
人工知能による
仮説提唱
18
具体的事例
制御
▼取材先:Baylor College of Medicine
※2014年8月に論文を発表。p53の未知のキナーゼを発見。
※過去の膨大な論文を、人工知能Watsonにより分析
人工知能による「仮説提唱」
がん抑制遺伝子p53
キナーゼ
人工知能・WATSON
主な機能は「自然言語処理」
論文の文章に使われている
「表現」に注目
21
使われている
言葉の種類・数・文章構造などから
表現の「特徴」を抽出
あるキナーゼのことを
書いた論文
自然言語処理による 論文の「特徴」の抽出
“酵素”という言葉が46回
“高血圧”という言葉が2回
“がん”という言葉が14回…
22
すでに発見されているキナーゼは500種類以上
論文の「距離」をもとに
2次元空間上にプロットする
23
人工知能による「仮説提唱」
Scott Spangler et al. KDD '14, August 24 - 27 2014
既知のp53キナーゼ(緑)を多く含む部分が!
p53との関連が判明しているキナーゼを頂点とした
binary tree(2分木)を作図
ここに含まれるものは、p53と関係する可能性が高いはず!
膨大な論文のテキストデータを
人工知能により分析することで
人知の限界を超えた仮説生成が可能に
イノベーションのボトルネックの一つ
「人間の寿命」
本日お話しすること
25
医療ビッグデータ
取材報告
「ビジュアライズ」の
時代
医療ビッグデータ
取材報告
「ビジュアライズ」の
時代
医療ビッグデータ
今後の発展は?
先進例のポイント
26
Visualization(可視化)
27
なぜ可視化が必要なのか?①
人間の脳と人工知能の「得意分野」は違う!
人工知能は膨大なデータの処理が可能 しかし…
※患者さんの顔色を見る
※雰囲気で異変を察知する
…というような
“正解のない課題の解決”は脳に敵わない
28
なぜ可視化が必要なのか?①
人間の脳と人工知能の「得意分野」は違う!
これが
怪しい!
ぼんやり見て「何となく怪しい」を
見つけ出せるのはスゴイこと!
29
なぜ可視化が必要なのか?①
人間の脳と人工知能の「得意分野」は違う!
その「架け橋」となるのが
Visualization(可視化)
分析 直感
30
たとえばこんな現実
なぜ可視化が必要なのか?②
ギリシャの時刻表??
厚労省は「公開してます」というけれど…
32
「マッピング」するだけで
リスク源を遠ざける行動が
自然発生
33
なぜ可視化が必要なのか?②
伝わらなければ「無い」のと同じ
データ 患者・市民「架け橋」が必要
Visualization
本日お話しすること
34
医療ビッグデータ
取材報告
「ビジュアライズ」の
時代
医療ビッグデータ
取材報告
「ビジュアライズ」の
時代
医療ビッグデータ
今後の発展は?
医療ビッグデータ
今後の発展は?
35
拡がる「他分野協働」
Carolyn McGregor
コンピュータ科学(企業の業績分析)
W. Scott Spangler
データサイエンティスト(自然言語分析)
36
データベース整備 分析環境の整備
http://japan.cnet.com/news/ent/20402973/
http://www.scalo111.com/
「可視化」への理解
「データ処理」だけでなく… デザインやコミュニケーション学への興味も!
拡がる「他分野協働」
37
Facebookグループ
「医療ビッグデータ勉強会」
医療関係者
データサイエンティスト
エンジニア
デザイナー
ジャーナリスト
etc
誰でも参加できる
「知恵の共有」の場
38
ご清聴ありがとうございました

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