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SSCG guideline 2012
                                    1

 A 初期治療
    補液にて低血圧が持続, もしくはLac ≥4mmol/Lの敗血症患者では,
     6時間以内に以下を達成する(Early goal directed therapy) (grade 1C)
      CVP   8-12mmHg 
      MAP   ≥65MMHG 
      尿量    ≥0.5mL/kg/h
      ScvO2   70%もしくは 混合静脈血Sat 65%
    Lac上昇している患者では正常化を目標とする (grade 2C)

 敗血症のスクリーニング
    感染源のスクリーニングを急ぎ, 早期に治療を開始する (grade 1C)
    病院ぐるみでパフォーマンスを向上する取り組みをすべき (UG)
 C 診断
    抗生剤投与が遅れない限り(>45分), 抗生剤投与前に血液培養を採取する
     培養は最低2セット.
     CVがある場合, 1セットは採血にて採取し, もう1セットはデバイスから採取
     (デバイスが留置されて48時間以上経過している場合に限り) (grade 1C)
    鑑別に侵襲性カンジダ症が入る場合は1,3 β-D-glucan (2B),
     マンナン抗原(2C)をチェックする.
    感染源検索の為の画像検査も適切に行うべし.
 D 抗生剤治療
    Septic shock, severe sepsisを認知してから1時間以内に抗生剤を開始(1B-C)
    疑う原因菌, 真菌, 感染臓器 全てカバーするように抗生剤を選択.(1B)
     感染源は毎日評価し, deescalationを行う(1B)
    初期には感染症に見えたが, その後感染症を示唆する所見が無い患者群では,
     プロカルシトニンや他のBiomarkerを参考にして抗生剤中止しても可(2C)
    好中球減少性発熱や多剤耐性菌(Acinetobacter, Pseudomonasなど)の場合は
     多剤併用のEmpirical治療を行う(2B)
     ● 呼吸不全やSeptic shockを呈する緑膿菌による重症感染症では,
      広域β-lactamとAminoglycoside or FQが推奨される(2B)
     ● Streptococcus pneumoniaeの菌血症を伴うSeptic shockでは,
      β-lactamとMacrolideの併用が推奨される(2B)
    Empiric治療は3-5日以上は行わない. 感受性が出ればすぐにDeescalation(2B)
    抗生剤は通常7-10日間. 治療反応性が緩徐な例, ドレナージ困難な症例,
     S aureusによる菌血症, 真菌症, 一部のウイルス感染, 免疫不全例では延長を.(2C)
    ウイルスによるSevere sepsis, septic shockではすぐに抗ウイルス薬を(2C)
    非感染症による重度な炎症には抗生剤は不要
 E 感染源のコントロール
    ドレナージ可能な感染源の精査は迅速に行う必要があり,
     感染源があれば12時間以内にドレナージを行う.(1C)
    膵周囲壊死の感染の場合, 壊死組織の除去は除去すべき部位と
     正常部位の境界が明瞭となってから行う方が良い(2B)
    感染源コントロールの際は, 最も侵襲の少ない方法から選ぶ.(UG)
    血管内デバイスの感染の場合, 他のアクセスを確保した上で迅速に抜去(UG)


 F 感染予防
    VAP予防目的にSelective oral decontamination,
     selective digestive decontaminationは行うべきである.(2B)
    VAP予防目的にchlorhexidine gluconateを用いた口腔ケアは推奨される(2B)
 G 補液治療
   使用補液は晶質液が推奨される(1B)
   Hydroxyethyl starcheはもはや推奨されない(1B)
   大量の晶質液を必要とする場合はアルブミンも使用可(2C)
   初期のFluid challengeでは最低30mL/kgの晶質液を用いる.
    一部の患者ではそれ以上の量を用いることもある.(1C)
 H 血管作動薬
    血管収縮薬はMAP ≥65mmHgを目標に行う(1C)
    Norepinephrineが1st choiceとなる(1B)
    EpinephrineもBPを維持する為に必要ならば追加として行う(2B)
    Vasopressin 0.03U/minをNAに追加して使用しても良い(UG)
    低用量Vasopressinは単独で初回に使用することは推奨されない.
      あくまでもSalvage治療としてとっておくべき.(UG)
    Dopamineは限定した患者群でのみ使用すべき(2C)
     (頻脈性不整脈のリスクが低い, 相対的静脈の患者群)
    Phenylephrineは推奨されない. ただし, NAで不整脈が誘発される場合,
     心拍出量は高いが低血圧の場合, Salvage治療として用いる場合は可(1C)
    低用量DOAを腎保護として使用するのはもはやダメ(1A)
    昇圧薬を使用する患者ではA-lineは確保すべき(UG)



優先順位は; NA > Vasopressin ≥ Epinephrine > DOA, phenylephrineの順か
 I 強心剤
    Dobutamine 20µg/kg/minの使用は
     (a) 心収縮力低下(Cardiac filling pressureの上昇, Low CO)
     (b) 血管内Volは正常, MAP≥65mmHgだが低循環の場合に推奨される(1C)
    正常な心機能では使用する必要は無し(1B)


 J コルチコステロイド
    補液治療と昇圧剤に反応があるSeptic shockではステロイドの必要無し.
     上記で反応がない場合はhydrocortisone 200mg/dを使用する.(2C)
    使用する際はACTH刺激試験を行う必要は無し(2B)
    昇圧剤が必要としなくなれば, ステロイドを減量する(2D)
    ショックのない敗血症にはステロイドを使用する必要はなし(1D)
    Hydrocortisoneを使用する際は持続投与で使用する.
 K 血液製剤の使用
   組織還流が改善で特に理由*がなければ 輸血閾値はHb<7.0g/dLとし,
    目標Hb 7.0-9.0g/dLで輸血を施行する(1B)
    *(MI, 重度の低酸素, 急性出血, 処決精神疾患)
   Severe sepsis患者の貧血改善の為にErythropoietinは推奨されない(1B)
   血液検査での凝固異常のみにFFPは投与しない.
    出血や侵襲性の処置に際しては別. (2D)
   Severe sepsisやSeptic shockにAntithrombinは使用しない(1B)
   PLT低下時のPLT輸血は,
    PLT<10000/µLで明らかな出血が無い場合
    PLT<20000/µLで出血リスクが高い場合に行う.
    侵襲性処置がある場合はPLT≥50000/µLとなることが好ましい(2D)
 L Immunoglobulin 
    IVIGはもはや使用しない(2B)

 M セレニウム
    IV セレニウムはもはや使用しない(2C)

 N rhAPC 
    以前は使用されていたが, もう使用しない. 発売も中止.
 O 人工呼吸器管理 (ARDS)
    目標Tidal volは6mL/kg (1A)
    Pplat ≤30cmH2Oとする(1B)
    敗血症によるARDSではLow PEEPよりHigh PEEPが推奨 (2C)
    重度の抵抗性低酸素ではRecruitment maneuverが推奨 (2C)
    PaO2/FiO2 ≤100mmHgのARDSでは経験があれば腹臥位呼吸も可 (2B)
    呼吸器管理中の患者では頭部挙上 30-45度を維持する (1B)
    リスクを十分に考慮しつつ, NPPVを使用するのも可かも (2B)
    以下を満たせばSBTを行いWeaningを開始 (1A)
      a)意識清明, b)血行動態安定, c)新規の重大な病態が無い,
      d)PS, PEEPが低い, e)FiO2が低い
    敗血症ARDSへの肺血管カテーテルのRoutine使用は推奨されない(1A)
    血行動態が安定していれば, 補液は絞り, ラシックスをかけ, CVP<4とする(1C)
    気管支攣縮など特別な理由が無い限り, β2刺激薬は使用しない(1B)
 P 鎮静, 鎮痛剤, 神経筋弛緩薬
   鎮静は最小限とすべき. 目標を設定し, 調節する(1B)
   ARDSが無いならば筋弛緩は使用すべきではない.(1C)
    使用する場合はtrain-of-four monitoringを行い, 深度をフォローする
   ARDSでPaO2/FiO2 <150mmHgでは短時間の神経筋ブロックを行っても良いが,
    48時間は超えないようにする.(2C)


 血糖コントロール
   血糖が>180mg/dLを超えるようならばインスリンを使用する.
    目標血糖は≤180mg/dLとする(1A)
   インスリン量と血糖が安定化するまでは1-2h毎に血糖チェックを.
    安定すれば4時間毎のチェックに減らす(1C)
   毛細血管血流の血糖は動脈血, 血漿の血糖と誤差があるため, 注意が必要(UG)
 R 腎代替療法
    敗血症性ショック患者への透析療法は急性腎不全患者のそれに準じる(2B)
    血行動態不安定ならば持続的透析療法を選択する(2D)

 S Bicarbonate治療
    pH≥7.15の乳酸アシドーシスにおけるBicarbonateは推奨されない.(2B)

 DVT予防
    Severe sepsis患者の薬物によるVTE予防は推奨される(1B)
     使用薬剤はLMWHの皮下注射(1B-2C)がUFH q12h, q8h 皮下注に勝る.
     ClCr<30mL/minではDalteparinか, 腎代謝の少ないLWMH, UFHが推奨(2C-1A)
    薬物療法とIntermittent pneumatic compression deviceの併用が推奨(2C)
    ヘパリンが禁忌の場合(PLT低下, 凝固障害, 出血など),
     弾性ストッキングやIPCDによる予防が推奨(2C)
 U ストレス潰瘍予防
    Severe sepsis, septic shock患者で出血リスクがあれば,
     H2阻害薬やPPIでの潰瘍予防が推奨される.(1B)
    予防薬はH2阻害薬よりはPPIの方が良い(2D)
    リスクが無ければ予防は必要としない(2B)

 V 栄養管理
    可能ならば48時間以内の経口, 経管栄養が推奨される.(2C)
    1週間以内に目標カロリーを達成する必要はない.
     可能なときに増量すべきである(2B)
    最初の7日間ではTPN単独やTPN+EN併用より,
     経静脈的にグルコースの投与と可能な限りの経腸栄養の併用が推奨される.(2B)
    免疫を賦活するような栄養素は必要としない(2C)
 W 治療のゴール
   患者や家族と治療の目標を相談する(1B)
   ゴールに応じて治療や終末期医療, 緩和ケアを選択する(1B)
   ゴール設定は可能な限り早期に行うが,
    少なくともICU入室後72時間以内に行うべき(2C).

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  • 1. SSCG guideline 2012 1  A 初期治療  補液にて低血圧が持続, もしくはLac ≥4mmol/Lの敗血症患者では, 6時間以内に以下を達成する(Early goal directed therapy) (grade 1C)  CVP 8-12mmHg   MAP ≥65MMHG   尿量 ≥0.5mL/kg/h  ScvO2 70%もしくは 混合静脈血Sat 65%  Lac上昇している患者では正常化を目標とする (grade 2C)  敗血症のスクリーニング  感染源のスクリーニングを急ぎ, 早期に治療を開始する (grade 1C)  病院ぐるみでパフォーマンスを向上する取り組みをすべき (UG)
  • 2.  C 診断  抗生剤投与が遅れない限り(>45分), 抗生剤投与前に血液培養を採取する 培養は最低2セット. CVがある場合, 1セットは採血にて採取し, もう1セットはデバイスから採取 (デバイスが留置されて48時間以上経過している場合に限り) (grade 1C)  鑑別に侵襲性カンジダ症が入る場合は1,3 β-D-glucan (2B), マンナン抗原(2C)をチェックする.  感染源検索の為の画像検査も適切に行うべし.
  • 3.  D 抗生剤治療  Septic shock, severe sepsisを認知してから1時間以内に抗生剤を開始(1B-C)  疑う原因菌, 真菌, 感染臓器 全てカバーするように抗生剤を選択.(1B) 感染源は毎日評価し, deescalationを行う(1B)  初期には感染症に見えたが, その後感染症を示唆する所見が無い患者群では, プロカルシトニンや他のBiomarkerを参考にして抗生剤中止しても可(2C)  好中球減少性発熱や多剤耐性菌(Acinetobacter, Pseudomonasなど)の場合は 多剤併用のEmpirical治療を行う(2B) ● 呼吸不全やSeptic shockを呈する緑膿菌による重症感染症では,  広域β-lactamとAminoglycoside or FQが推奨される(2B) ● Streptococcus pneumoniaeの菌血症を伴うSeptic shockでは,  β-lactamとMacrolideの併用が推奨される(2B)  Empiric治療は3-5日以上は行わない. 感受性が出ればすぐにDeescalation(2B)  抗生剤は通常7-10日間. 治療反応性が緩徐な例, ドレナージ困難な症例, S aureusによる菌血症, 真菌症, 一部のウイルス感染, 免疫不全例では延長を.(2C)  ウイルスによるSevere sepsis, septic shockではすぐに抗ウイルス薬を(2C)  非感染症による重度な炎症には抗生剤は不要
  • 4.  E 感染源のコントロール  ドレナージ可能な感染源の精査は迅速に行う必要があり, 感染源があれば12時間以内にドレナージを行う.(1C)  膵周囲壊死の感染の場合, 壊死組織の除去は除去すべき部位と 正常部位の境界が明瞭となってから行う方が良い(2B)  感染源コントロールの際は, 最も侵襲の少ない方法から選ぶ.(UG)  血管内デバイスの感染の場合, 他のアクセスを確保した上で迅速に抜去(UG)  F 感染予防  VAP予防目的にSelective oral decontamination, selective digestive decontaminationは行うべきである.(2B)  VAP予防目的にchlorhexidine gluconateを用いた口腔ケアは推奨される(2B)
  • 5.  G 補液治療  使用補液は晶質液が推奨される(1B)  Hydroxyethyl starcheはもはや推奨されない(1B)  大量の晶質液を必要とする場合はアルブミンも使用可(2C)  初期のFluid challengeでは最低30mL/kgの晶質液を用いる. 一部の患者ではそれ以上の量を用いることもある.(1C)
  • 6.  H 血管作動薬  血管収縮薬はMAP ≥65mmHgを目標に行う(1C)  Norepinephrineが1st choiceとなる(1B)  EpinephrineもBPを維持する為に必要ならば追加として行う(2B)  Vasopressin 0.03U/minをNAに追加して使用しても良い(UG)  低用量Vasopressinは単独で初回に使用することは推奨されない.  あくまでもSalvage治療としてとっておくべき.(UG)  Dopamineは限定した患者群でのみ使用すべき(2C) (頻脈性不整脈のリスクが低い, 相対的静脈の患者群)  Phenylephrineは推奨されない. ただし, NAで不整脈が誘発される場合, 心拍出量は高いが低血圧の場合, Salvage治療として用いる場合は可(1C)  低用量DOAを腎保護として使用するのはもはやダメ(1A)  昇圧薬を使用する患者ではA-lineは確保すべき(UG) 優先順位は; NA > Vasopressin ≥ Epinephrine > DOA, phenylephrineの順か
  • 7.  I 強心剤  Dobutamine 20µg/kg/minの使用は (a) 心収縮力低下(Cardiac filling pressureの上昇, Low CO) (b) 血管内Volは正常, MAP≥65mmHgだが低循環の場合に推奨される(1C)  正常な心機能では使用する必要は無し(1B)  J コルチコステロイド  補液治療と昇圧剤に反応があるSeptic shockではステロイドの必要無し. 上記で反応がない場合はhydrocortisone 200mg/dを使用する.(2C)  使用する際はACTH刺激試験を行う必要は無し(2B)  昇圧剤が必要としなくなれば, ステロイドを減量する(2D)  ショックのない敗血症にはステロイドを使用する必要はなし(1D)  Hydrocortisoneを使用する際は持続投与で使用する.
  • 8.  K 血液製剤の使用  組織還流が改善で特に理由*がなければ 輸血閾値はHb<7.0g/dLとし, 目標Hb 7.0-9.0g/dLで輸血を施行する(1B) *(MI, 重度の低酸素, 急性出血, 処決精神疾患)  Severe sepsis患者の貧血改善の為にErythropoietinは推奨されない(1B)  血液検査での凝固異常のみにFFPは投与しない. 出血や侵襲性の処置に際しては別. (2D)  Severe sepsisやSeptic shockにAntithrombinは使用しない(1B)  PLT低下時のPLT輸血は, PLT<10000/µLで明らかな出血が無い場合 PLT<20000/µLで出血リスクが高い場合に行う. 侵襲性処置がある場合はPLT≥50000/µLとなることが好ましい(2D)
  • 9.  L Immunoglobulin   IVIGはもはや使用しない(2B)  M セレニウム  IV セレニウムはもはや使用しない(2C)  N rhAPC   以前は使用されていたが, もう使用しない. 発売も中止.
  • 10.  O 人工呼吸器管理 (ARDS)  目標Tidal volは6mL/kg (1A)  Pplat ≤30cmH2Oとする(1B)  敗血症によるARDSではLow PEEPよりHigh PEEPが推奨 (2C)  重度の抵抗性低酸素ではRecruitment maneuverが推奨 (2C)  PaO2/FiO2 ≤100mmHgのARDSでは経験があれば腹臥位呼吸も可 (2B)  呼吸器管理中の患者では頭部挙上 30-45度を維持する (1B)  リスクを十分に考慮しつつ, NPPVを使用するのも可かも (2B)  以下を満たせばSBTを行いWeaningを開始 (1A)  a)意識清明, b)血行動態安定, c)新規の重大な病態が無い,  d)PS, PEEPが低い, e)FiO2が低い  敗血症ARDSへの肺血管カテーテルのRoutine使用は推奨されない(1A)  血行動態が安定していれば, 補液は絞り, ラシックスをかけ, CVP<4とする(1C)  気管支攣縮など特別な理由が無い限り, β2刺激薬は使用しない(1B)
  • 11.  P 鎮静, 鎮痛剤, 神経筋弛緩薬  鎮静は最小限とすべき. 目標を設定し, 調節する(1B)  ARDSが無いならば筋弛緩は使用すべきではない.(1C) 使用する場合はtrain-of-four monitoringを行い, 深度をフォローする  ARDSでPaO2/FiO2 <150mmHgでは短時間の神経筋ブロックを行っても良いが, 48時間は超えないようにする.(2C)  血糖コントロール  血糖が>180mg/dLを超えるようならばインスリンを使用する. 目標血糖は≤180mg/dLとする(1A)  インスリン量と血糖が安定化するまでは1-2h毎に血糖チェックを. 安定すれば4時間毎のチェックに減らす(1C)  毛細血管血流の血糖は動脈血, 血漿の血糖と誤差があるため, 注意が必要(UG)
  • 12.  R 腎代替療法  敗血症性ショック患者への透析療法は急性腎不全患者のそれに準じる(2B)  血行動態不安定ならば持続的透析療法を選択する(2D)  S Bicarbonate治療  pH≥7.15の乳酸アシドーシスにおけるBicarbonateは推奨されない.(2B)  DVT予防  Severe sepsis患者の薬物によるVTE予防は推奨される(1B) 使用薬剤はLMWHの皮下注射(1B-2C)がUFH q12h, q8h 皮下注に勝る. ClCr<30mL/minではDalteparinか, 腎代謝の少ないLWMH, UFHが推奨(2C-1A)  薬物療法とIntermittent pneumatic compression deviceの併用が推奨(2C)  ヘパリンが禁忌の場合(PLT低下, 凝固障害, 出血など), 弾性ストッキングやIPCDによる予防が推奨(2C)
  • 13.  U ストレス潰瘍予防  Severe sepsis, septic shock患者で出血リスクがあれば, H2阻害薬やPPIでの潰瘍予防が推奨される.(1B)  予防薬はH2阻害薬よりはPPIの方が良い(2D)  リスクが無ければ予防は必要としない(2B)  V 栄養管理  可能ならば48時間以内の経口, 経管栄養が推奨される.(2C)  1週間以内に目標カロリーを達成する必要はない. 可能なときに増量すべきである(2B)  最初の7日間ではTPN単独やTPN+EN併用より, 経静脈的にグルコースの投与と可能な限りの経腸栄養の併用が推奨される.(2B)  免疫を賦活するような栄養素は必要としない(2C)
  • 14.  W 治療のゴール  患者や家族と治療の目標を相談する(1B)  ゴールに応じて治療や終末期医療, 緩和ケアを選択する(1B)  ゴール設定は可能な限り早期に行うが, 少なくともICU入室後72時間以内に行うべき(2C).