3. 欠測予防に関する各種ガイドライン
• National Research Councilが2010年にまとめたガイドライン(左)、Mallinckrodtが
NRCのガイドラインを元に2013年にまとめたもの(中)、Li et al.が各種ガイドライン
を整理して2014年に作成したミニマムスタンダード(右)
• Li et al.のミニマムスタンダードを発表の大枠にして、NRCのガイドラインを中心に
欠測値の予防法について説明します。 3
4. 欠測はどこで予防できるか?
<研究デザインと実施上の工夫>
① リサーチクエスチョン(特にアウトカム)
を明確にする
② 欠測値を最小限にするためにデザイン
と実施上の対策を講じる
③ 欠測値を扱うための統計的手法を予め
決めておく
<研究実施中の工夫>
① 重要なアウトカムの情報収集を継続す
る
② 欠測値をモニターする
臨床的疑問の定式化
(PICO,PECO)と先行研究調査
研究デザイン・アウトカム測
定方法の決定
倫理審査など
研究の実施とデータの収集
データ解析
Li et al.,2014,Journal of Clinical Epidemiology:欠測値の予防と処理法
についての各種ガイドラインを整理して,デルファイ法によってミニマ
ムスタンダードを抽出した論文から。以降、Li論文をベースに欠測予防
をまとめた。 4
22. ☆参加者のデータ収集における重荷や不便を減らし、
出来るかぎり研究での経験をポジティブなものにする
① 研究参加とアセスメントの回数を最小限に
② 必要な情報のみ収集
③ 使いやすい症例報告書の使用
④ 病院への来訪を求めない直接的なデータ収集の
使用(電話やメールの使用など)
⑤ 比較的大きな猶予期間を設定したフォローアップア
セスメント
⑥ 参加者が楽しいと感じれるように工夫: 友好的な環
境の形成、友好的なスタッフの雇用、参加者の時
間とスケジュールを尊重する、小さな子どものため
に遊ぶものがあるなど
Panel on Handling Missing Data in Clinical Trials; National Research Council, “The Prevention and Treatment
of Missing Data in Clinical trials”, 2010
22
31. ☆欠測値に関して許容可能な目標の確率を決めて、
この目標に関して試験の進展をモニターする(Little et
al.(2012) N Engl J Med)。
• プロトコルの段階で、許容可能な欠測確率を決める。試験
中に欠測値をモニターして、「データおよび安全性モニタリ
ング委員会(Data and Safety Monitoring Board)」に送る。
*許容可能な欠測確率を決定する標準的な方法はまだない
が、先行する試験から可能な目標を設定する、感度分析を考
慮して結論に影響しない欠測確率を推定するなどがある。
• データ収集後ではなく、リアルタイムで測定して、問題があ
る場合はすぐにミーティングを行う(特定の施設に欠測が
多い場合は、対処方法を決め、訓練を行う or 中止を判断
する)。
Panel on Handling Missing Data in Clinical Trials; National Research Council, “The
Prevention and Treatment of Missing Data in Clinical trials”, 2010
31
35. 参考・引用文献
<主な教科書>
• “The Prevention and Treatment of Missing Data in Clinical Trials” , National
Research Council, 2011,The National Academies Press
• “Preventing and Treating Missing Data in Longitudinal Clinical Trials”
Mallinckrodt, 2013, Cambridge university press
→NRC本は重要教科書、Mallinckrodt本は分かりやすくまとまっている
<主な論文>
• Li et al. (2014). Standards should be applied in the prevention and handling of
missing data for patient-centered outcomes research: a systematic review and
expert consensus. Journal of Clinical Epidemiology, 67(1), 15–32.
• Little et al. (2012). The prevention and treatment of missing data in clinical
trials. The New England Journal of Medicine, 367(14), 1355–60.
→Li論文は、欠測値予防・処理に関する各種ガイドラインをまとめたミニマルスタ
ンダードの論文。Appendixには各種ガイドラインとページなどの情報が掲載され
ている(元のガイドラインにあたることが容易だった)。Li論文では、少し手薄だっ
たデザインや実施上の工夫については、Little論文のまとめが非常に有用だった。35