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バイタルサイン症例7
- 3. 今 日 は 平 和 で す ね
- 4. O市救急隊です。患者の受け入れをお願いします。 28歳男性。 職場でイスから立ち上がった瞬間に 意識を失って倒れた患者です。 すぐに意識は回復したそうですが まだ立つとふらつきがあります。 バイタルは血圧130/92 mmHg, 心拍数88 回/分, SpO2 99% (RA)です。 3日前にもそちらの病院の救急外来を受診しています。
- 5. きゅうきゅうしゃを うけいれますか？ はい はい
- 7. 合言葉は「さるも聴診器」！！ さ る も ちょう しん き 酸素 ルート確保 モニター（ECG, SpO2） 超音波 心電図（12誘導） 胸部X線ポータブル
- 8. 救急車が到着しました 患者さんはストレッチャーの上で 少し不安そうな顔をしています。 だいぶ汗をかいているようです。 到着してすぐにモニターをつけて バイタルサインをチェックしました。 血圧124/95 mmHg，心拍数95 回/分 呼吸数18 回/分，SpO2 99% (room air) 意識清明，体温36.5℃
- 9. Q：どうされましたか？ 職場で仕事してて 「ちょっと疲れたな」って思って立ち上がったら すぅ～っと気が遠くなって… 気づいたら床に倒れてたんです。 同僚の話だと1分くらい気を失ってたみたいです このとおり今は頭ははっきりしてるんですが， 立ち上がるとふらふらするので ストレッチャーに乗せてもらいました
- 10. Q：3日前にも救急外来に来たみたいですね？ そのときは腰が急に痛くなって。 ここで診てもらったら「尿路結石」と言われました。 痛み止めの薬をもらって帰りました。 なかなか痛みが治まらなかったんですが、 薬を飲めば痛みはましになったので、 なんとか仕事はできていました。
- 11. Syncope：失神 定義 脳の全体的な血流低下による、急性発症・短時間・かつ 自然に完全回復する一過性の意識消失と脱力 失神の３羽カラス ①心血管性失神 ②起立性失神（出血、脱水、貧血） ③血管迷走神経反射性失神 （④薬剤性失神） 林寛之「Step Beyond Resident② 救急で必ず出会う疾患編」 「Dr.林の笑劇的救急問答3 上巻」より
- 12. Syncope：失神 英語でカッコつけたい時は、こんなゴロもあるよ Situational 状況性 Vasovagal 血管迷走神経反射 Neurogenic 神経原性 Cardiac 心原性 Orthostatic hypotension 起立性低血圧 Psychiatric 精神疾患 Everything else その他（薬剤性含む） “Saint-Frances Guide Clinical Clerkship in Outpatient Medicine”より
- 13. 身体所見 全身： 眼瞼結膜： 眼球結膜： 胸部： 腹部： 発汗著明, 不安様顔貌 蒼白なし 黄疸なし 異常所見なし 明らかな腹痛なし 腸蠕動音亢進 直腸診でタール便付着 四肢： 放散痛なし
- 14. 出血性ショックの指標として ショックインデックス(SI)が有名だが… SI 重症度循環血液喪失量 0.5~0.7 正常- 1.0≧ 軽症1,000 mL (23%)まで 1.0~2.0 中等症1,500 mL (33%) 2.0≦ 重症2,000 mL (43%)以上
- 15. 低容量性ショックでは 経時的にバイタルサインが変化する 血圧正常 心拍数上昇 体位変換試験 陽性 収縮期血圧正常 脈圧低下 カテコラミン リリース 収縮期血圧低下 尿量低下 意識レベル低下 心拍数低下 喪失量 15% 20% 25% 30% 35%
- 16. 体位変換試験（簡易tilt試験）とは？ ①まず仰臥位で心拍数･血圧を測定。 ②次に立位または端座位で１分･２分･５分後に 心拍数･血圧を測定する。 ※心拍数が30以上あがったり，血圧が20以上さがれば陽性。
- 17. ＃起立時の失神 ＃鎮痛薬の頻回服用 ＃タール便 ＃低容量性ショックの第3段階 上部消化管出血による 代償性出血性ショック 診断は??
- 18. 血液検査 白血球8,500 /μL, Hb 13.2 g/dL, Hct 39.6 %, 血小板24万/μL BUN 48.2 mg/dL, Cre 0.88 mg/dL 輸液の準備をしていると， 患者さんの様子がおかしくなってきました。 血圧75/60 mmHg，心拍数95 回/分 呼吸数18 回/分，SpO2 測定不能 GCS E3V4M6（落ち着かない），体温36.5 ℃
- 19. 低容量性ショックでは 経時的にバイタルサインが変化する 血圧正常 心拍数上昇 体位変換試験 陽性 収縮期血圧正常 脈圧低下 カテコラミン リリース 収縮期血圧低下 尿量低下 意識レベル低下 心拍数低下 喪失量 15% 20% 25% 30% 35%
- 21. 今日のポイント ①失神と意識障害は違う ②失神の鑑別3羽カラス ③出血性ショックを収縮期血圧だけで判断しない -まず心拍数が上がる -次に拡張期血圧が上がってくる
Notas del editor
- ●仰臥位で心拍数･血圧を測定。 ↓ ●立位または端座位で１分･２分･５分後に心拍数･血圧を測定する。 *心拍数が30以上あがったり，血圧が10以上下がれば陽性。 head up tilt試験のように大がかりではない。