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尿路感染症 送信用
- 4. 先生、胸を痛がってます!
じゃぁ、アスピリン、ニトロ
と酸素投与、塩モヒも使っ
て、ヘパリンも使おう!!
先生、熱が出てるんですけ
ど。
じゃぁ、メロペンとバンコマ
イシン、ロキソニンとクラ
ビットも投与しといて。
- 6. 抗菌剤の投与をためらってはいけない!!
診断がはっきりしないなら 患者さんの命が
優先!!
抗菌剤を使わないほうがいいんだよね!?
抗菌剤は 感染症は
比較的安全 しばしば急速に悪化して命に関わる
比較的安価
よく分からなくて、待てない状況なら使うことを考える。
ただし・・・
少なくとも血液培養を2セット以上とるこ
と。
十分広域な抗菌薬を十分な量、投与するこ
と。
いらない、と分かったらやめること。
他人に相談すること
- 7. 抗菌剤の投与をためらってはいけない!!
診断がはっきりしないなら 患者さんの命が
優先!!
抗菌剤を使わないほうがいいんだよね!?
抗菌剤は
比較的安全
比較的安価 待てない、とは?
ショック、アシドーシス
よく分からなくて、待てない状況なら使うことを考える。
呼吸不全、意識障害
ただし・・・ 臓器不全 など。
少なくとも血液培養を2セット以上とるこ
と。
十分広域な抗菌薬を十分な量、投与するこ
と。
いらない、と分かったらやめること。
他人に相談すること
- 9. 尿路感染て何だろう?
定義: 尿路に起きた感染症
感染臓器 起因菌
腎臓 通常、グラム陰性桿菌
膀胱
前立腺
患者の状態
尿道 単純性か複雑性か
よくある 院外 院内
尿路感染 単純性 複雑性 単純性 複雑性
膀胱炎 ◎ ◎
腎盂腎炎 ◎ ◎
尿道炎 ○
前立腺炎 ○ ○
- 11. 起因菌
よくある菌
大腸菌 75‐90%
Staphylococcus saprophyticus 5-10%
Klebsiella pneumoniae 4%
Proteus mirabilis 4%
その他
Enterobacter 腸球菌
Serratia 緑膿菌
- 13. 尿路感染の診断
実は難しい?尿路感染の診断
“尿路感染症は、一見簡単な感染症のようであり
ながら、実は他の部位の感染症を除外しながら診
療することを求められる総合内科的疾患である”
レジデントのための感染症診療マニュアル(第2版)より
- 14. 尿路感染症の診断グッズ
症状・身体所見
膀胱炎: 頻尿、 排尿時痛、 残尿感
尿道炎: 無症状、排尿時痛
腎盂腎炎: 膀胱炎症状、 発熱、 悪寒、 腰痛、
肋骨脊柱管叩打痛、 悪心・嘔吐
検査
尿試験紙 尿グラム染色
尿沈渣 血液培養
尿培養
- 15. 病歴はとても重要
頻尿、排尿時違和感、尿意切迫などの症状が
1つでもあれば、
膀胱炎の可能性は 50% 程度
排尿時違和感と頻尿があり、
膣分泌物がない場合、
膀胱炎の確率 90%
→ 症状のみで診断可能
JAMA 2002;287:2701‐
- 16. 患者は病名をぶら下げてやってくる!?
65歳、女性
先生、膀胱炎になりました。
以前と同じ症状です。 お薬下さい。
患者さんが、
膀胱炎と自分で診断してきた場合、信じていいの?
再発性膀胱炎の患者さんの場合、
172回のエピソードの内、144回が膀胱炎だった。
自己診断の陽性的中率 84%
Ann Intern Med. 2001;135:9‐16
- 17. 身体所見
膀胱炎の身体所見
恥骨上部の圧痛 : あってもよい
診察時の膣分泌物 : 膣炎の否定に使えるが、
問診と変わりなし。
腎盂腎炎の身体所見
CVA叩打痛:陽性尤度比 1.7
陰性尤度比 0.9
所見があれば、多少確率は上がる。
所見がなくても否定はできない。
あまり役に立たない。。。。
- 19. 尿試験紙の使い方
尿試験紙
亜硝酸塩:
腸内細菌がいると陽性になる。
特異性が高い。(陽性なら信用できる)
緑膿菌、グラム陽性球菌では陰性。
白血球エステラーゼ:
尿中の白血球を検出でき
る。
感度、特異度とも7-8割
- 21. 尿のグラム染色
方法
尿を1-2滴スライドグラスに垂らして、乾燥させ、
後はグラム染色をするだけ!
尿のグラム染色は、何の役に立つの?
菌がいるかどうかが分かる。
グラム陽性菌か、陰性菌か、無菌性かわかる
治療が効いてるかどうかわかる。
(治療後の尿をグラム染色して、菌が消えてればOK)
- 22. 尿培養の使い方
膀胱炎の患者においては、必要ないという意見もあるが、
耐性率を考えると、行った方がよい。
腎盂腎炎では必ず必要!
なるべく中間尿を採取する。
有意な細菌尿の程度とは、 10^5 CFU/ml 以上
但し、明らかな尿路感染の症状がある人では、
10^2~10^4 CFU/ml程度の細菌尿でも起因菌の事がある。
- 23. 各種尿検査の特性
検査法 結果 感度 特異度
>5 WBC/HPF 72-95% 48-82%
尿沈渣
>10 WBC/HPF 58-82% 65-86%
白血球
陽性 74 ‐ 96% 94 ‐ 98%
エステラーゼ
亜硝酸塩 陽性 35 ‐ 85% 92-100%
試験紙の潜血 陽性 44% 88%
グラム染色 >1個の細菌/HPF 93% 95%
尿培養の陽性に対する、感度、特異度
Dynamed Acute Pyelonephritis
- 25. 悩ましい検査結果
無菌性膿尿
混濁があり、白血球が認められるのに、菌が見えな
い
クラミジアなどによる尿道炎
尿路結核
虫垂炎などの腹腔内の炎症 など
無症候性細菌尿
細菌尿は、65歳以上ならば、
男性の10%、女性の20%に認められる。
特にカテーテルを入れてる人に多
い。
通常は治療の対象にならない。
例外:妊婦、尿路系の手術前
- 27. 自験例
発熱、腰痛で受診した80歳、男性。
尿沈渣で白血球多数、エコーで水腎症あり、
腎盂腎炎の診断で上級医が入院させた。
入院後、話を聞くと腹痛もある、との事。
腹部:全体に圧痛あり、 腹膜刺激症状なし
エコーでは両側の水腎。
CTの結果、大腸癌の腹膜播種、穿孔で
両側の尿管狭窄、腹膜炎を起こしており緊急手術
へ。
- 30. 患者の状態
敗血症かどうか?
悪寒・戦慄があるか?
単純性か・複雑性か?
- 31. 単純性か複雑性か?
複雑性とは?
男性
尿路の閉塞(尿管結石、前立腺肥大、神経陰性膀胱など)
尿道カテーテルなどの人工物
解剖学的異常
易感染性(糖尿病、免疫抑制状態、悪性腫瘍など)
妊娠
つまり… 健康で妊娠していない成人女性以外
- 38. 抗菌薬選択の基本
膀胱炎(女性の単純性)
使用すべき抗菌薬はほぼ決まっている。
通常、起因菌の大多数は感受性の良い大腸菌のため
女性の単純性膀胱炎以外
ローカルファクターを考慮して選択する。
初期治療で考えられる起因菌をカバーするため
- 39. 治療効果の確認の基本
CRP? 発熱?
臓器特異的なパラメータを知る。
尿のGram染色
全身状態の改善
自然経過を知る。
- 41. 抗菌薬中止の基本
~いつまで続けるべきなのか~
通常、投与すべき期間は、
感染臓器、起因菌、患者の状態により、
ほぼ決まっている。
根拠は?
実はあまりない。。。
治療期間を比較したRCTなどがあまり存在しない。
臨床試験で用いられた日数などを参考に決まってい
る。
- 44. 院外の単純性膀胱炎の起因菌
起因菌: 1.大腸菌
2.大腸菌
3.大腸菌 90%
その他、Klebsiella pneumoniae、
Proteus mirabilis
性的にActiveな女性 : Staphylococcus Saprophyticus
- 46. 膀胱炎の治療期間は?
健康な若い女性の膀胱炎では
基本的には 3日間 の短期治療
それ以外ではより長期の治療が必要
特に、妊娠、糖尿病、高齢者、再発、
カテーテル使用者、耐性菌の尿路感染の既往など
男性でも短期治療は推奨されない
起因菌の内、Sthpylococcus saprophyticus では、
短期療法は避ける。
- 48. 膀胱炎にキノロンって使っていいの?
利点 欠点
短期治療が可能
患者 妊婦には禁忌
1日1回で済む
コンプライアンスが良い
医師 できれば温存したい薬
よく使われている(安心?)
Bioavailabilityがよい QT延長の可能性
薬の
(ほぼ100%) NSAIDsと併用注意
特性
副作用が比較的少ない?
日本では大腸菌の耐性化が
菌 緑膿菌までカバーできる 進んでいる(30%)
群大の感受性率は75%ほど
利点・欠点を知ったうえで、臨床状況によって判断が必要
- 50. 院外の急性腎盂腎炎の治療
治療の基本は、考えられる起因菌を外さない。
腎盂腎炎の 40 %は菌血症を伴
う。
広く始めて、de-escalationを。
悪寒、高熱がある場合は静注で開始。
解熱後2-3日で経口投与に替えてもよい。
- 51. 院外の急性腎盂腎炎の治療
起因菌
☆ E. coli
Staphylococcus saprophyticus
Klebsiella pneumoniae
複雑性では、大腸菌が減り、その他の菌が増えてく
る。
- 52. 院外の急性腎盂腎炎の治療
推奨薬剤
グラム染色の結果を参考に。
抗菌剤は、地域の感受性などによっても変わってくる。
例
第3世代セフェム
ニューキノロン
重症例では
アミノグリコシドの併用も
- 54. 院外の急性腎盂腎炎の治療期間
基本的には14日間の治療を行う。
最近は、より短期の治療も考えられているが、
まだ安全性などはよく分からない。
再発例などではより長期の治療も考慮
いつ de-escalationするの?
起因菌が判明して、感受性が分かり次第
いつまで点滴するの?
解熱後、2-3日で経口薬に切り替えてもよ
い。
- 56. CA-UTIの定義
IDSAガイドライン 2010
尿道カテーテルあり。
尿路感染症として矛盾しない症状、所見があ
る。
他の感染症が否定的。
≧10^3 cfu/ml以上の細菌が、カテーテル尿、
カテーテル抜去後48時間以内の尿から検出される。
- 57. CA-UTIのFact
世界で最も多い、医療行為に伴う感染症
1日に3~10%ずつ細菌尿が増加する
30日でほぼ100%
細菌尿の10~25%が尿路感染症になる
不要なカテーテルはさっさと抜きましょう。
毎日の回診の時に、カテが必要か考える事。
- 58. CA-UTIの治療
カテーテルは必要なければ抜く
2週間以上留置されていたカテーテルは
交換したほうがよい
グラム陰性桿菌を広域に狙う
緑膿菌を狙うかどうかで抗菌剤は変わる