6. How to Make (Almost) Anything
(ほぼ)あらゆるものを作る方法
これは、MIT(マサチューセッツ工科大学)でNeil Gershenfeldが教える授業の名
前で、非常に人気のある講義だ。2000年に始まったこの授業は当初、Center for
Bit and Atomsで使用されているさまざまなデジタル工作機械の使い方を習得する
機会を学生に提供するためのものだった。Gershenfeldはこれをきっかけに、より
幅広く学生たちがデジタルハードウェアにアクセスできる場所としてファブラボを作
ることになった。当初この授業はキャンパスの学生にのみ開かれていたが、現在では
オンラインで公開されている(http://fab.cba.mit.edu/classes/MIT/863.08/)。
この授業形式はファブラボ・アカデミーの分散型学習プログラムのベースとなってお
り、その講義は世界中に散らばるファブラボで修了することができる。
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はじめに 6
9. 国境をこえたムーブメント
現在、ファブラボのコンセプトはMITから独立して国際的な規模へと成長している(元々はMITで考
案され、その一部はアメリカ国立科学財団による融資を受けていた)。Gershenfeldは、ファブラボ
の数は毎年倍増していると述べている3 。MITの「公式な」リストには世界80カ所のラボが記載され
ており(http://fab.cba.mit.edu/about/labs/)、インタラクティブな地図「ファブラボ・オン・
アース 」 に は 1 0 0 を 超 え る ラ ボ が 記 載 さ れて い る ( h t t p : / / m a p s . g o o g l e . c o m / m a p s /
ms?ie=UTF&msa=0&msid=100531702172447774282.00044fdbd79d493ad9600)。
図:世界のファブラボの所在地を示した地図
ファブラボはものづくりの民主化の基盤となるか
デジタルファブリケーションは、構想から製品化に至る製造過程を、ひとつながりの連鎖として統合
する。一連のプロセスはまず、CAD(Computer Assisted Design:コンピューターによる設計)
とCAM(Computer Assisted Manufacture:コンピューターによる製造) を行うソフトウェアか
ら始まる。生み出されたデザインは、数値制御のハードウェアによって形作られる。しかしこれらの
技術は最近になって開発されたものではない。Gershenfeldによれば、MITには1950年代に設置さ
れたコンピューターだ。重工業はこれまで何年にもわたってこの過程を組み立てラインで行ってきた
が、今ではスタートアップでもラピッドプロトタイプをつくれるようなメカトロニクスの拠点が世界
中に存在している4。
3
Neil Gershenfeld interview Futur en Seine Festival 2011 Paris :
http://nod-a.com/2011/09/present-et-futur-du-projet-fablab/
4
同上
ファブラボとは何か 9